第274話 《アリスト科》のランチ
体育祭の作戦会議も終わり授業を受けてランチターイム、今日は
「あ!?」
「どうしたのじゃ!?」
「ごめん......家に忘れてきちゃったみたい、お弁当......」
作ってきたのにここに来て痛恨のミス!
ばかやろー!俺。
「な、なんじゃっと......」
ルカが分かりやすく落ち込む。
「うん、ごめんね?今日は食堂にいこ?」
「そうするのじゃ......」
落ち込んでるルカをあやしながら久しぶりの食堂へ行くと前と同じく賑わっていた。
コック達も忙しそうにしている。
うんうん、俺も食堂好きよ?ただ......
「相変わらず視線を感じるのじゃ」
「そう......だね」
ものすごい視線を感じるのだ、普段よりもすごく......
「取り敢えず早く済ませるのじゃ」
ルカは食券を押してさっさと行ってしまった。
俺も早く終わらせよ、えーっと今日は......
「やぁ、久しぶりだね」
「へ?」
声をかけられて振り向くと......誰だっけ?
「え、えと久しぶり、です」
取り敢えず話を合わせておくとその人は嬉しそうに
「覚えてくれてて光栄だよ、もうひとつ、覚えててくれたらよかったけど......」
「えーっと......」
「次の日からずっと待ってたんだ、ついに来てくれた」
あ!思い出した!俺に初日ステーキオススメしてきた人だ!
............あーーー!!!そう言えばなんか《アリスト科》の食事誘われてた......忘れてた......
「あ、あのごめんなさい......」
「いいさ、だから今日は、いいね?」
う......俺が忘れていて今さら断るのはちょっと......
「わ、わかった、友達に話してくるね?」
「うん、あの白い扉、あそこで待ってるさ」
「はい......」
取り敢えずまた人だかりを作って食べはじめてるルカに状況を説明するとルカは了承してくれた。
食べ終わったら先に教室に戻るみたいだ。
そして白い扉の前で待ってるステーキの人の所へ行き。
「よ、よろしくお願いします」
「うん、よろしく、ようこそ《アリスト科》食堂へ」
ステーキの人が白い扉をあけ二人で中に入るとそこは下に魔法陣のかかれた小さな部屋だった。
そして壁にくっ付けられている魔皮紙に《2名》と書かれてる部分に魔力を通してくれる。
「さぁ、此方へどうぞ」
「え、あ、はい」
キザったらしくステーキの人は手を差し出してきたので俺は握り返す......良いのかお前!中身男だぞ!なんかこっちが恥ずかしいんだけど!
そのまま、魔法陣の上に乗ると光だして目の前が真っ白になる。
【転移魔法】だ。
そして、視界が開けてくるとそこは学校では無かった......
まさにどこかの城の中、目の前には豪華な丸テーブル、そしてイスが対面になって置いてあり。
どこからともなくクラシックな音楽が聞こえてくる。
「では、どうぞ」
「あ......ありがとう」
ステーキの人は目の前のイスをひいてくれたので俺は座ると、ステーキの人も対面に座って向かい合わせになる。
広い部屋に二人だけの音楽の流れる空間......
男と女。
いや、男と男。
なんじゃこの状況......
「まずは、乾杯からだ」
ステーキの人はテーブルに魔力を流すとグラスが二つ、赤い液体が入ったのが出てきた。
なるほど、料理は【転送魔法】で来るのか......というかこれって、まさか!?
「い、いいの?これって......お酒じゃないの?」
「学校では様々な年齢が居るからね、もちろん、そのまま授業を受けてはいけないのでこの薬を飲んで酔いを覚ましてる、《アリスト科》だけの特別な薬ですよ」
そそそそそそそそそういう事なら良いかな?
飲んでも......いいよね?だって文字通り魔法の薬があるもんね?いいよね?飲んでも......
(※アオイの大好きなもの お酒)
「そ、そうなんだ......じゃ、じゃぁ頂こうかな?」
「えぇ、乾杯」
「かんぱーい」
お互いのグラスを鳴らし乾杯をして喉に流し込むと、まろやかでフルーティー......ジュースと思うほど飲みやすく、そして待ちに待ったアルコールがフワッと来た。
なにこれ!おいしぃ......うめええぇ、悪魔的だぁ。
「おいしい」
「そして君のためにコースは僕が頼んでおきました、まずは前菜、《サーズドグレンサラダ》、君のお口に合うといいのですが」
「い、いえ、こんなに高そうなもの本当にいいのかな?」
目の前のお皿にはキャベツとレタスをベースにエビやカニそして、何かお魚の赤いお刺身が盛られていてソースが上からかけられているオシャレなサラダだ、実際に使ってる素材はこの世界の物なので名前は違うだろうが元の世界に例えたらそんな感じ。
正直うまそう......
そして多分だがめちゃくちゃこれだけでもお値段高そうだ。
「あなたのために、ですよ」
ニコッとステーキの人は笑顔を向けながら進めてくる。
「それじゃぁ......いただきます」
もうここまで来れば楽しんでやる!
そのまま俺はランチのフルコースをいただきました。
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