第273話 《我慢比べ》《物運び》
「では、次に《我慢比べ》についてなんですけど」
あの後、みんながトイレを訴えだしたのでトイレ休憩を取り、落ち着いた頃に会議を再開した。
みんなお腹壊すって珍しいこともあるもんだな。
黒板に魔法で《我慢比べ》と書かれる。
「これについては単純に暑さを我慢するみたいです、校庭のグランドに大きな魔皮紙を敷いてその上にみんなで乗った後、温度調節をされて、最後に残っていた人の科が勝ちみたいです」
みんなが「なるほど」といって対策を話し合い出す。
一応、この時は俺も自分の席に着いてルカと話し合ってる。
「我慢比べ、なのじゃ?」
「うん」
さっそくルカは自分のイスを後ろに向け俺の机に胸を置き話しかけてくる。
......肩がこるので俺も机にこの荷物置きたいんだけど我慢......
「ふむ......暑さと寒さ......ちなみに魔法は使って良いのじゃ?」
「そりゃぁね、魔法学校だし......たぶんマジック科の事だから自分達で調べあげて有利になるような魔法を使ってくると思うよ、温度調節はアリスト科がするみたいだから不正はないと思うけど」
「ふむ......」
ルカは真剣に考えてる顔をする。
あ、そういえば
「ねぇルカ」
「?、どうしたのじゃ?」
「さっきなんで僕が魔法使ったときあんな顔してたの?」
「のじゃ!?あれはその、あれは!あれなのじゃ」
ルカはそれを聞くとあたふたと手を振りながら目を泳がせる。
「あれ?あれって?」
「うぐぐ......何でもないのじゃ!アイツラガガンバルカラカンケイナイノジャ......それより!今は話し合いなのじゃ!時間もないのじゃ!」
「?......ま、まぁそうだね、どうしようか」
「あれはどうなのじゃ?【アイスダロック】を袋に詰めて服のなかに入れとくのは」
【アイスダロック】
熱を嫌う鉱石で空気中の熱を冷やし続ける性質を持つ。
小さい奴を買って服に仕込むのか......いい考えだな......ちなみに、水筒に加工しているものも売ってて今俺達はそれを使ってる、いつもキンキンに冷えてやがるぜ。
「ありだね、ただ寒いときはどうするの?」
そう、重要なのは《温度調節》なのが難点だ、つまり温かくも寒くもできる。
「のじゃ!?たしかに......」
「寒くなったら逆に【アイスダロック】が邪魔になりそうだしね」
「むぬぬぬぬ......」
「そう考えると難しいね、僕とかあんまり魔法の知識がないから......」
少しずつこの学校に入学して学んでは来てるけどまだまだ解らないことはいっぱいだ。
何だかんだ図書館にも行けてないし......
うーん......あ!そうだ!
このあと俺はすごい作戦を思い付いてクラス全員を納得させた。
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「さて、次にビジネス科が出してる《物運び》についてですが」
「はい」
その議題を持ちかけると一人のマッスル......確か《マッスルファイターズ》のリーダーが手をあげた。
「何でしょうか?」
その男は席を立つと突然上半身裸になり「はぁぁぁあ!」と気合いを入れてマッスルポーズを決めて此方を見てくる。
..................はい?
「ど、どうしました?」
「この様に見てわかる通り我らは筋肉が自慢!重たいものでも何のなんの!我々に任せれば大丈夫!ノープログレム!」
クラス内の《マッスルファイターズ》以外の人達、俺も含めシーーンとなる。
「............そ......それは頼もしいですね!でもルールを」
「どんなルールでも我らの筋肉があれば大丈夫!」
キラン!と白い歯と筋肉を見せて此方を見てくる。
いや!だからルールを聞けって!
そう思ってたらルカがスクッと立ってマッスルに近づいてる......何する気だ?
「どうした?ルカさん!この筋肉を触りにきたのですか!」
マッスルは近付いたルカに向かって違うポーズを取りアピールをする。
それをルカはジッとみて。
「お主、良い身体をしておるのじゃ」
「そうか!もっと見てくれ!この筋肉!これなら《物運び》も楽々に......いいぃい!?」
次の瞬間、ルカはマッスルの片手を掴み軽く手を振って上に投げた!?えええ!?
そのままマッスルは空中から尻餅をついて着地して目を丸くして下からルカを見上げる。
「まぁワシもこの様にある程度なら力があるのじゃ、だからルールを聞いて『みんな』で競技を勝つのじゃ」
「は、はい」
ルカは一瞬俺を見てフッ......と笑みを見せて自分の席に着いた......すげぇ、ルカめっちゃ力持ちじゃん......魔法かな?
「えと、じゃぁ再開しますね......」
こうして無事、《体育祭》の作戦会議が終わった。
《体育祭》が楽しみだな!
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【転送魔法】と【転移魔法】
【転送魔法】
主に、道具や食べ物などを転送する魔法。
魔皮紙は二つセットでまず転送する魔皮紙の上に道具や食べ物を置き使う。
そして、もう片方の魔皮紙に何が欲しいか思いながら魔力を流すと転送され取り出せる。
これは、物質が一度魔力に変換され魔皮紙に溶けてもう片方の魔皮紙で魔力から物質に戻している。
【転移魔法】
主に人が転移するときに使う魔法。
良くローブに魔法陣が組み込まれている魔法で《初級》《中級》《上級》《超級》がある。
どれも魔力を多く使うので使い手はほとんどいないが、いざというときに使う人も居る。
《初級》は自分の半径3メートル以内を大量の魔力を消費して思ったところに移動する。
《中級》は自分の半径9メートル以内で初級より魔力を消費する。
《上級》は自分の見える範囲にどこでも転移出来て中級よりも魔力を消費する。
《超級》になると思ったところに行ける。
が、大昔に使っている人が確認され、それ以来確認されていない。
現在では使い手はいないとされている。
ギルドにある【転移魔法陣】はその《超級》転移魔法をギルド独自で改良したものである。
【転移魔法】の最大の特徴は【転送魔法】と違い、魔力に変換するのではなく、目的地と自分の地点を繋ぐワームホールを魔力で構成しそれを通って転移しているので生身の人間でも安全だ。
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