第261話 遅刻した代表

 「18時になりました、それでは来ていない代表も居ますが、クラス代表会議を開始する。」


 モルノスクールの北に位置する棟。

 中は会議室になっており、中には七人のクラス代表が居た。


 一人は一番前の《会長》という文字が浮いている高級机に座っており、それを正面に他の人はそれぞれイスに座っている。


 《会長》の腕章を付けたその女性は《アリスト科》2年のクラス代表で黒いを背中まで伸ばし凛とした表情が特徴で、何も問題は無いと言わんばかりに話す。


 「あー、会長いいか?」


 そこで手を上げたのは白髪ボサボサな頭の《アドベンチャー科》二年の男。


 「なんだ?まだ始まってもいないぞ、カブ」


 「あー、そんな事は良いんだよ、俺の科の一年が来てねぇ遅刻か?これは舐めてんな、来た瞬間に魔法使ってぶん殴るから許可をくれ」


 そして、それに呼応するように《ビジネス科》の二年代表、おかっぱ頭で丸眼鏡をかけている男子も賛成とばかりに意見を述べる。


 「ククッ、それは名案ですね、時間とはお金......タイムイズマネー現象、こんな大事な会議に遅れてくる様な人間はこの先生きていけません、あ!そっか!」


 ビジネス科代表はポンッと手を叩く。


 「だから《アドベンチャー科》なんて馬鹿でも行けるような所なんですねククッ」


 「あ?」


 その言葉を聞きアドベンチャー科二年代表のカブは血管を額に浮かび上がらせて睨み付ける。


 「あー?てめーよぉ、それは俺もバカだって言いたいのか!」


 「ひっ!」


 「はぁ、静かにするのですぞ、どちらも対したことで無いことで騒ぐなですぞ」


 「あ?」


 二人を見ることもせず前を向きながら話しをする、顔に仮面付けている語尾が変な男は《マジック科》の二年代表である。


 カブは立ち上がりマジック科二年代表に近づいてガン飛ばす。


 「あー、てめーよぉ、変な仮面つけてどこ見てるか解らないツラしやがってよぉ、気持ちわりーんだよその話し方もよぉ!」


 「............はぁ、我輩はお前に興味などないですぞ、解ったらその醜い顔を退けて席につけですぞ、むしろその顔をイスに付けて顔をあげるなですぞ」


 「あー!!!?」


 カブはたまらず魔法陣を展開させ、一年の代表三人はすぐさまイスの下に隠れるがそこでカブは只ならぬ殺気を会長から感じ取った。


 「っ!」


 「カブ、ここでの戦闘は禁止されている、やるならちゃんとした手続きをしろ」


 「ちっ......」


 「......」


 苛立たしげにバコッとマジック科一年代表が座っていたイスを蹴飛ばし自分の席につく。

 戦闘が始まると思って壁の角まで逃げていたマジック科一年の代表の女子は「ふえぇ......」と言いながらそのイスを拾って席につく。


 

 「............アドベンチャー科二年代表の言ったことだが、当然ながら許可はしない、だが、直接的攻撃ではなく脅しならば許可しよう、壁や人を傷付けないならな」


 「あー?わかってんじゃねーか会長、どんな奴かわからねーけどこんだけ遅刻してんだ、恐い思いしてもらわねーとな」


 「そうでもしなければお前は影でその生徒を歳上だろうとも懲らしめるだろ、ここで脅すだけで勘弁してやれ」


 「はいはーい」


 「では、10分遅れたが、クラス代表会議を始める」


 そして各自が始まるその時、ドアが勢いよく開いた。


 「あー、来たかっと......っ!!!!」


 アドベンチャー科二年クラス代表、カブは魔法陣を展開させたが彼女を見て固まった。


 「はぁ......はぁ......ごめんなさい!遅れました!」


 その美女は猛ダッシュで来たのだろう、全身が汗だくで息があがって膝に手をついて下を向いてる。


 その場のみな、その美女に視線は釘付けだ。


 見えているのは汗で濡れている大きな胸に綺麗な髪。

 ほのかに香る汗の匂いは臭いと感じることなく男も女も魅了してしまう匂い。

 特に男なら彼女からしたたる汗を自身に取り込もうと舐めたい欲望も出てくる......それすらも汚いと感じないほどに欲情してしまうのを抑える。


 会長も見とれていたが我に返り話す。


 「大丈夫だ、まだ会議は始めていない、アドベンチャー科一年のクラス代表のアオイだな?空いている席が君の席だ」


 そして、アオイがその綺麗な顔をあげて席を探す。

 その顔にみんな恋心をくすぶられ、女ですら何かに目覚めそうになる。



 「よろしくお願いします......」


 アオイは遅刻して注目されてるのが恥ずかしいのか顔を赤くしながら腰を低くして席につく......ちなみにカブの隣になる。


 「先輩?よろしくお願いします?」

 

 「ンア、アアヨロシク」


 カブが固まりすぎて大変なことになっているのをアオイは見つめる。


 「ナンダヨ?」


 「あ、いえ!その、えーっと、かっこいいですね」


 ちなみにアオイは「うわぁ、こんなザ・ヤンキーで釘バットが似合う奴って魔法の世界でもいるんだ」って思って見ていただけである。

 だが、咄嗟にでたその言葉はカブに弾丸のごとく矢が突き刺さった。


 「グハッ」


 「へ?ぐは?」


 「あー?てめぇが一年のアドベンチャー科の代表らしいな」


 「は、はい」


 アオイは何かやらかしたかっという顔でおどおどするが、カブはアオイの肩に手を置き。


 「何かあったら先輩である俺に頼れ、お前はこの一年は俺が守ってやる」

 

 「へ?あ、ありがとうございます」


 アオイは怒られるかとおもったが逆で拍子抜けした。


 ちなみに、カブの目は完璧にアオイに恋をしている目になっていたがアオイは気づいてない。









 「話は終わったか?......では、クラス代表会議を始める」

 



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