第258話 食堂のアイドル
「うへぁ・・・・・・ぐわぁぁ・・・・・・」
「何をうめいておるのじゃ」
午前中の授業がついさっきおわり。
俺は机に突っ伏してた・・・・・・でかい胸がふにょっと押しつぶれてクッションになってる感覚は新しい。
なぜ突っ伏してるのかというと。
「なんで数学や化学とかもあるのぉ」
魔法学校の授業と聞いたら何を想像する?
魔法陣の書き方?
杖を使って羽を飛ばす?
箒にのってスポーツ?
ノンノンノン。
蓋を開けばほとんど元の世界と変わらないものがあった。
もちろん違う授業もあるよ?
《モンスター学》《サバイバル学》なんてものもあるからそれは楽しみだけど。
数学 化学 社会・・・・・
社会は面白いんだけどね、別の世界だから根本的に色々違う。
でも数学と化学!
これに関してはまっっったく新鮮味がない!
数学はまぁ言わなくても無ければ確かにダメだけど。
化学がなぜ必要かと言うと【炎魔法】などは魔皮紙に魔力を通したときに周りの原子を変えて魔皮紙が着火元となり炎の魔法となるわけだ。
まぁ、それを知らないといけないと言うわけなのだが・・・・・・
「苦手だぁ・・・・・・」
「うむ、ワシも面倒だと思うのじゃ、こんなもの知らなくてもなんとかなるのじゃ」
「うぅ、それってでも昔の僕なんだよなぁ」
「?」
「いや、気にしないでー・・・・・・」
学生の頃、勉強ができなくなった俺は「なんとかなるだろう」「こんなの出来なくても生きていける」そう思って大人になったが。
実際に社会に出ると授業で習ったのが【常識】、【知ってて当然】という事で相手は話してくるので苦労していた。
つまり、常識であるかぎり覚えないといけないのだ・・・・・・
「うー・・・・・・うううぅー・・・・・・」
勉強したくないいぃ・・・・・・異世界の魔法学校思ってたのと違うぅ。
「いつまでもうなってても仕方ないのじゃ、食堂にいくのじゃ」
「そうだねぇ・・・・・・」
解ってるよ?奴隷である身の俺がこんなこと態度に出したりはしちゃいけないって。
いや、うん、気を付けよう・・・・・・後でマスタールカには謝っとこ。
俺はテンションが落ちながらも食堂にルカと一緒に行った。
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そして・・・・・・
「ふぁぁぁあ!?すっごい!」
食堂はすごいことになっていた!
建物の構造的には普通に社員食堂の様なところだが、作ってるのが見える。
そして、その厨房がすごいのなんので!
奥にコックが何人か居てそれぞれ魔法で包丁などを動かしてる。
え?手でやればいい?
チッチッチ、魔法で包丁が動いてるのは一本ではなく六本くらい一気に動いてるのだ。
そして鍋をおたまでぐるぐるしてるのも魔法で動いており。
コック達は魔法を使いながら材料をだし味付けをしたり味見をしたりコック達はコック達で忙しそうだ。
「お主、情緒不安定なのじゃ・・・・・・」
ピッと食券を買う・・・・・・あ、それは普通なんだ。
「えーっと・・・・・・『デルトニクスのチャーシャ』『マルコトルのファイアー』『ピルクドンのソテー』・・・・・・」
全然わからん・・・・・・どれがどんな味かわかってんの?みんなこれ。
「先に行ってるのじゃー」
「あ、え」
スーッとルカは行ってしまった・・・・・・どうしよ。
「お困りですか?お嬢さん」
困っていたら後ろからいかにも貴族の立ち振舞いをしてる長身のイケメンの男の人から声をかけられた。
胸のマークをみると《アリスト科》のマークが入っていた。
「何を食べればいいか迷ってて・・・・・・あなたのおすすめとかありますか?」
何を食べればいいか。ではなく何が何か解らないが正解で取り敢えず知ってる風にオススメを聞く。
「ふふ、そんなときもあります、あなたのように可愛く、美しいお方にオススメは《レッドドラゴンのステーキ》・・・・・・良ければ私達と一緒に食べませんか?特別に《アリスト科》の席へご案内しますよ?」
なんか第3の選択肢でたのと口説かれてる?これ?
一応言っとくが俺男だぞ。
それより。
「《アリスト科》の席?」
「はい、わたくしども高貴な人しかいない席です、あなたにも相応しい・・・・・・」
「せ、せっかくのお誘いだけど友達がいるんでまた今度お願いします」
「ふふ、はい、では明日で」
あ、あるぇ?やんわりお断りしたはずなのに・・・・・・
これ以上話すと何か危険を感じたのでオススメの《レッドドラゴンのステーキ》を押してスススッと料理をもらいにいく。
すると。
「お!お嬢さんちょっとまっときな」
とコックが言ってお肉にプラス何か果物を切ったものを追加してくれた・・・・・・
おぉ、すごいサービスのいいコックだな。
「ありがとうございます!」
それから結構大きめのステーキを貰ってルカを探して見つけたのだが・・・・・・
「ルカさんって言うのか、かわいいね!」
「・・・・・・」
「食べてる姿もワイルドでギャップがすごいかわいい」
「・・・・・・」
「ねぇねぇ、声聞かせてよ?」
「食べてるのじゃ」
「喋った!かわいい!」
なぜかルカの周りには人が集まっていた。
なんかしたのかな?
ルカは人混みの間から俺を見つけたらしく此方に手を軽く振ってくる。
「アオイ、やっと来たのじゃー早くしないと昼休みなるものが終わっちゃうのじゃ」
一斉にみんな此方を見てきた・・・・・・うわぁ、視線がいたいぃ。
というか何だよ!その人混み!アイドルか!
「う、うんごめんそっち席あいて無さそうだからこっちはこっちで・・・・・・」
って言うと無言でみんな道を開けてルカの前の席に座れと言わんばかりに見てくる・・・・・・
うげぁぁあ・・・・・・さっきまでザワザワしてたのになんかめっちゃシーンとなってる。
「ほら空いたのじゃ、それとお主」
「?」
「その後ろの人だかりはなんじゃ?」
「え・・・・・・」
気がつくと俺の後ろにも大量に人が居た・・・・・・
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魔皮紙
魔物の素材を合成加工した物。
魔物素材により性質が変わり出る魔法も変わる。
適性者は魔皮紙なしで自分の魔法を使える。
個人それぞれすべての人に適性する魔法があるというが、それをどうやって引き出すのかは個人によって違うので謎である。
獣人は引き出しやすい体質みたいだ。
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