第256話 自己紹介

 《アドベンチャー科》 

 今年の入学者、総勢20人。

 この科は二年たつと卒業試験があり、それに合格すると、冒険者に登録する際スクールを出ていることが記載され、ギルドから受けれる依頼も多くなるらしい。


 そして、体育館での入学式も終わり、教室に案内され席につく。

 教室事態は小・中・高と同じ感じの木の机だ。

 俺の席は一番左の一番後ろ・・・・・・そして俺の前にはルカが座っている。

 20人なので4つの机が5列ある。


「では、一人ずつ自己紹介をお願いします。」


 担任の先生は女の教師で歳は40・・・・・・といった所だろうか。

 女教師がエロイのってあれはアニメや漫画の世界だけだ、至って普通の女教師。


 一人ずつ自己紹介をしていきルカの自己紹介の番になった。


 「ワシの名前はルカなのじゃ、よろくしく頼むのじゃ」


 なんて事ない自己紹介。

 思い出すなぁこの雰囲気学校・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・正直ほとんど前の世界と同じすぎて思い出したくない事まで思い出しそうだ。


 「次、お願いします」


 「はい」


 俺は立ち上がり


 「アオイと、言います、これからよろしくお願いします」


 と、目立つこともなく、自己紹介したはずなのだが・・・・・・


 「あの人、アオイって言う名前みたい」


 「アオイか・・・・・・アオイ・・・・・・心に刻むぜ」


 「アオイ、なんて素敵な名前なんだ」


 あ、あれ?なんかみんなヒソヒソとしだした・・・・・・

 目立ってないよね?大丈夫だよね?


 「はいみなさん静粛に、次のかたどうぞ」


 うぐ、目立つのは嫌いだ。

 中学の頃を思い出してしまう。


 「わ、私はスヒマルっていい、ます・・・・・・よろしくお願いします」


 隣の少しぽっちゃりした女の子はスヒマルちゃんか、よし!覚えたぞ!

 

 自己紹介はそんな感じで何事もなく終わり、明日から授業が始まるみたいだ。

 学校の施設、図書館や食堂などは自由に使ってよいらしく、もちろん許可が出れば図書館へ行くつもりである。


 「では、これから二年間、よろしくお願いしますね、今日はこれで終わりです」


 担任は出ていき教室はまだシーンとなる。

 そして・・・・・・



 「君!アオイちゃんって言うの?」


 「ねぇ!アオイちゃんこれからモルノ市場で何か買わない?」


 「アオイちゃん俺たちと冒険者になったら組まない?」


 アオイちゃんアオイさんアオイさんアオイちゃんと男女共に一斉にみんな此方に来た!

 な、なんだこれ!?


 「え、えーっと・・・・・・」


 ルカに目で訴えかけるがルカの方も何人か行っていて対応に困ってる。

 

 「な、なんなのじゃお主ら!」


 「その話し方可愛いね!」


 「ルカさん是非僕とこのあとどう?」


 ルカさんルカちゃんルカにゃん・・・・・・

 どうしてこんなに俺たちのところに来るんだ!?


 「大丈夫?アオイちゃん」


 こ、ここで気のきいた答えを言わないと陰キャ決定になってしまう!

 異世界学校デビューを果たすんだ!俺!


 「え、えーっと・・・・・・ハハ」


 ・・・・・・・・・・・・ダメだ、いい答えがでなくて取り敢えず笑ってごまかすと。


 「ぐはっ!」


 「おい!どうした!」


 「お、俺はこの笑顔のために生きてたんだ・・・・・・」


 「まだ死ぬな!起きろ!」


 一人が鼻血を出し倒れた。

 ええええええええぇ!?


 「ふん、この程度で倒れるなど手ぬるいな」


 「お主、何か糸がついてるのじゃ」


 そう言ってその人の服の糸を取ろうとしてルカが触れると


 「ぐわぁぁあ!!」


 「ど、どうしたのじゃ!?」


 「も、もうこの服絶対に洗わない」


 ルカに触れられた瞬間に涙を流した。


 どうなってんだ!このクラス!?


 「と、取り敢えずみんな明日ね!また明日!ぐっばい!」


 「ま、待つのじゃアオイ!」


 俺はカオスな状況に耐えられなくなりルカと走ってその場を後にした・・・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「な、なんじゃったのじゃ」


 「わ、わからない、けど・・・・・・」


 靴箱まで走って来て息を整える。

 良かったのかな。こんな感じで・・・・・・逃げ出したりして失敗したかな。

 と逃げてしまった自分を悔やむ・・・・・・でもさ!目の前で鼻血だされたり涙流されてみてよ!しかもアイドルとかそんなんじゃなく一般人にそれをされるともはや事件だよ!

 ちなみに俺はアニメのように鈍感ではないからハッキリ言う・・・・・・


 「絶対に周りの人がおかしい!」


 ルカと一緒に今日は大人しく帰ることにした・・・・・・明日学校行くとどうなってるんだろ・・・・・・










 『そして、アオイもルカも気付くはずもない。『女神』の力の原料は何か・・・・・・そして《学校》でなぜそこまで『魅了』が押さえ付けられないくらい強力になっているのか・・・・・・』

 








 学園生活編スタート。





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