第255話 モルノスクール入学式

 モルノ町 《モルノスクール》


 市場のメイン通りをまっすぐ歩き、少し長い坂の上にたっているこの魔法学校は、今日、入学式を迎えていた。

 みな、同じ制服を来て登校しているが歳や外見は様々だ。 

 

 まずは、みんな体育館に集められ、前の日に申請している希望の《科》の席について校長の話を聞く。


 ここモルノスクールでは。


 《ビジネス科》

 主に商いを職業にするために勉強する科。

 16歳から自分のお店を持てるが学校に行ってるのと行ってないのでは売り上げが全然違う。

 しかし、ほとんどが自分の親がお店をもっている人たちで16未満の人が多く、ここを卒業してそのままお店を継ぐ者達が多い。


 《マジック科》

 主に魔法の研究を職業にするために勉強する科。

 魔法を研究し、新しい魔法及び魔法を利用した新しい商品を開発するのを職業にする。

 なのでこの科では魔法の基礎や歴史などを習う。

 成績が優秀だとグリード王国から推薦状が来る。


 《アドベンチャー科》

 主に冒険者を職業にするために勉強する科。

 冒険者は何歳でもなれるのだが、ギルドが16歳まではゴールド以上に滅多なことがない限りあがらせない。

 なので、16歳になるまでに何年か魔法学校で勉強し知識を付けて冒険者になる人が多い。

 命をかける職業なのであまり人気はない。


 そして、何よりも優先され特別待遇の。


 《アリスト科》

 貴族のお嬢様、お坊っちゃま達が将来国を動かすために勉強する科。

 自分より人の働かせ方などを習う。

 この科はどこのスクールも設備や環境にお金がかかっていて何から何まで特別に扱われる。


 この四つの科がある。

 

 入学式開始まで10分をきっている今、各科のイスはほとんど埋まっている。

 別に早いもの順と言うわけではないが、遅いと一番前の席しか空いてなかったりする。

 

 そして、一人。

 その人物が体育館に入ってきてみんなの注目が集まった。


 その女性はホリゾンブルーの明るい藍色の髪の毛を背中まで伸ばし、目の色も髪色と同じで胸は大きく。

 そして・・・・・・「な、なんとか間に合ったのじゃ」

 と変な語尾の美しい女性だった。


 先に来ていた人達がざわつく。


 「おい、見ろよ、あの人めっちゃかわいい」


 「ばか、聞こえたらどうすんだ」


 「俺、この学校に入って良かったぁ」


 「ねぇ、○○ちゃん、あの人本当に綺麗ね」


 「そうね、すごいわ・・・・・・一体どんなお化粧品使ってるのかしら?」


 「あのナルノ町に一時出た『金髪の神』と同じくらいかしら?」


 「あぁ、あの神の真似をしすぎて神の逆鱗に触れてしまったって噂の?」


 「そうそう」


 「うーん、そこまでは・・・・・・でも本当にすごい綺麗」


 男も女もそれぞれ、その人物・・・・・・ルカについて感想を友達が居る人は共有し。

 一人の人は小さな声で喜びを呟いたりしている。



 「なんじゃ貴様ら、見世物じゃないのじゃ」

 

 みんなの視線に気付いたのか少し不服そうな顔をしながらその場で立っている。


 まるで誰かを待っているようだ。

 














 そして、その人物はそれからすぐ入ってきた。












 「ま、間に合った!?はぁ・・・・・・はぁ」







 その、見るものを全てを魅了する女性は、走ってきたのか汗をかいて息を荒くしていた。

 何気ない普通の事だ。

 

 走ったので、汗が出て、息が荒くなる。


 しかし、それすらも色っぽくみんなには見え。

 先程までざわついて居たのも誰も何も言葉を発していなくなっていた。


 誰もがその人物を、本能的に視覚に焼き付けているのだ。

 

 『あの美しすぎる女性を見ろ』


 と、脳が命令を出している。

 他の事・・・・・・息をすることさえ、忘れる人も居て限界が来て過呼吸になるものも。

 

 その美女。

 アオイはシーンとなって、みんなから見られてるのに気付き。


 「あー・・・・・・えと、ギリギリアウト?」


 「いや、時間的にはあってるのじゃ、ただもう少しで始まるから黙ってまっておるのじゃろう」


 その完全無敵の美女は「すいません」とペコペコしながら、先に来た隣の美女と歩いていく。


 美女二人が通ったあとは甘い、男を恋に落とす匂いが残り、それを吸った男はちょっとした快楽を覚え中毒になる。

 その人達の事を人生で忘れなくなるくらいに。

  

 そして、美女を見ている女は。

 『妬み』『嫉妬』『劣等感』などマイナスの感情は誰一人抱くことはなく、彼女達にあるのは。

 美しすぎる『憧れ』。

 人間はここまで可愛く美しくなれる、と言う『希望』。

 人生でこんな人に出会えたと言う『優越感』。


 


 誰もが、その人物達はどこかの貴族のお嬢様二人と思い。


 《アリスト科》の席に座ると思っていた。


 

 《アリスト科》の人達は声に出さないが心のなかで喜び。

 それ以外の人達は、自分の科ではないと悲しむ。



 だが、みんなそれが間違いだった。




 美女二人が座ったのは・・・・・・













 《アドベンチャー科》











 


 

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