第254話 お買い物!
《モルノ町 市場》
ここはモルノ町の中の1番大きな市場だ、俺が居たことあるナルノ町からしたら小さいがそれでも揃うものは揃っている。
「~♪」
「ご機嫌じゃの?」
「そりゃそうだよ♪」
偶然であるが、当初の目的であった魔法学校の入学……ここまで来るのに長かったぁ……やっと、俺の異世界冒険が始まる!
「?」
「感謝してます♪マスター♪」
敬語を使いマスターと言うと決まってルカは顔を青ざめてあわてて怒る。
「だからそれはやめるのじゃ!」
「ごめんごめん」
「これは命令じゃ、本当に冗談ではないのじゃ!」
たぶん、本当にやめてほしいのだろうけど変な語尾のせいでフワッとしている。
でも気を付けよう、機嫌を損ねて入学が出来なかったりしたら元も子もない。
「わかったよ、誓う」
「まったく……では最初にここに入るのじゃ」
「服屋?」
「そうなのじゃ、まずは制服を依頼するのじゃそれから色々買っている間に作って貰って帰りにまたここに来るのじゃ」
「なるほど」
そういって、服屋「ノーレック」に入る。
「こんにちは〜」
奥におばあちゃんが座っていてカウンターと試着室があるだけだ、見本とかないのかな?
「いらっしゃい」
「うむ、《モルノスクール》の制服を2着、頼むのじゃ」
「わかりました」
おばあちゃんがゆっくりと何かメモをとって。
「1着18000になります」
「わかったのじゃ」
ルカはカードを出すとそれを受け取りレジのピッてするやつでピッとする……魔法の世界なのにそこは新鮮味がない……
「では、サイズを測るのであちらの部屋へ」
「わかったのじゃ、アオイも行くのじゃ」
「う、うん」
俺は言われるがままに試着室に入りカーテンを閉めると服屋でよく使われてる柔らかいメジャーが蛇のように下から入ってきて身体にまとわりつきサイズを測っていく。
「ふひ……ちょっとくすぐったい」
5分くらい測っていたらそのままメジャーは帰っていったので試着室を出る。
「あれ?まだ終わってないのか」
まだルカは出てないみたいだ、同じタイミングに入ったのになんでだろ?
「そう言えば、他の服は見本とかないんですか?」
おばあちゃんは一瞬俺を見てまたメモに目線を戻して話し出した。
「この店じゃ、お客さんの要望に答えたデザインの服を作るのが主だからね、制服とか決まってるもの以外でこの店に来る人は素材とある程度デザインを決めて来るお客さんだよ」
なるほど、そう言うことか。
つまりここは《オーダーメイド》専門店ってやつだな。
「素材って言うのは?」
「何でもいいさ、何か魔物の血を混ぜてほしいなら此方からどれくらい必要か計算して要求したり自分で布の素材を持ってきたらそれで作ったりも」
「なるほど、防具屋みたい……」
「あぁ、素材によっちゃ服事態が防具になるかもだね、それなりに此方もお金を貰うだろうけど」
「ほぇ〜」
そこまで聞いたところでルカが試着室から出てきた。
「はぁ……はぁ……」
「な、なんで疲れてるの」
「あのニョロニョロしたの、苦手なのじゃ」
あぁ……蛇って確かに嫌いな人居るよね。
実際でも俺はそこまで嫌いじゃない、なんかかっこいいじゃん?男心をくすぐる。
「では、また来るのじゃ」
「うん!楽しみ!」
「ありがとうございました」
そういって、服屋を後にして他の物を買いに行った。
紙に近いがウッドリーワンドと言われる木の魔物の素材を使った魔皮紙のノート。
マルポチョウと言われる魔物の羽を魔法で加工してインクが切れない羽ペン。
その他にも喉が乾いたときの水筒はアイスダロックと言う熱を嫌う鉱石で空気中の熱を冷やし続ける性質を持つ。
これを加工して水筒にすることでいつでも中の液体が冷えているのを保ち続ける魔法の水筒。
その様なものを買って、帰りに制服をもらい、家へ帰った。
さぁ!明日は入学式!
楽しみだなぁ!異世界の学校!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして____
モルノ町市場よりかなり離れた場所で、2人がアオイを監視していた。
「なぁオリバル、あれが本当に女神かよ?」
「ルコサの話では敵か味方かまだわからないらしい……」
「はっ……出来れば妹弟子だから戦いたくはないけどよ」
1人は150㎝前半の背丈がコンプレックス。
金髪ショートのボサボサな髪に俺様口調で黒い皮の服を着て大きな黒と赤の【鎌】を持って双眼鏡でアオイを見ている女の子。
クロエ。
そしてもう一人は身長は160後半のたくましい筋肉と傷が耐えない身体は現在クロエと同じく黒い皮の服で隠れている、髪は黒髪に緑のメッシュが入っていて、【スナイパーライフル】でアオイを覗いている男。
オリバル。
いずれもキールの元パーティーメンバーだ。
「……3年前の山亀討伐、ルコさんの話が本当ならアオイ1人で討伐してるんだよな」
「実際は俺達、【神】に選ばれた人達は見ていないけど……」
「そして、神に勇者として認められた女」
{びびってるのかー?主人さん}
クロエの鎌から声が聞こえる。
「あ?びびるわけねぇだろ、俺だぞ?」
{は!そうだわなぁ流石ご主人だぜ!}
「そんなことより、お前こそ【神の武器】だろ?『女神』に勝てるのかよ?」
{俺達は所詮武器だ、使うやつ次第だよ、だがあんたと俺なら勝てるだろうさ!}
「言うじゃねぇか!」
そしてオリバルの持ってる銃もスコープが暗くなる。
「どうした……?」
{主人。撫でて}
「どこを……?」
{おしり}
「……」
オリバルはそれっぽい所を撫でると機嫌を取り戻したのかスコープが繊細になる。
「俺達がこうして見てる間は『女神』は出てこないってルコさんは言ってたが買い物とか見てたら普通の人間だよな」
「それでも、やるしかないから仕方ない……」
「で、そのルコさんは?」
「戦いに向けての準備、終わったら交代するらしい」
「ルダさんは?」
「男とホテル……」
「よし、殺そう」
{同意するぜ!}
「まぁ、これも仕事……」
「はぁ……まぁ仕方ないわな……」
「来るべき神々の戦いのために……」
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