第4章
第252話 新たなマスターは友達がいない。
《????》
目が覚めた……布団で寝かせられてる……?
「知らない天井だ……」
時刻は深夜だろうか、身体を起こした時に見えた魔法時計の青光する時計針を見ると2時を指していた。
「僕は……確か山亀と戦っていたはず……」
頭を触ると獣人化してた耳もなくなっていて服も道場に置いていた最初の青い服だった。
「……あ」
確か俺は魂を代償にする魔皮紙を使って【武器召喚】して____
「まさか、僕死んだ?」
自分の身体を確認する。
動く度に揺れてめんどくさい大きな胸。
元の世界の時にあった股間の物もない。
そして、さっきから喋ってると自分の耳に聞こえるのは高い女の子の声。
「足もある……感覚も感じる」
生きてる?死んだ事ないから解らないけど生きてると思う……
「起きたのじゃ?」
「!?」
気を抜いてる時に声をかけられて身体がビクッとなった。
「だ、誰?」
そう言うと窓から入ってくる月明かりが彼女を照らす。
顔立ちは歳上のお姉さんで髪は明るい青でロング。
胸には俺よりは低いが山が2つの黒い着物の女性……
「そんなに驚かなくて良いのじゃ」
「ごめんなさい」
「気分はどうなのじゃ?」
…………あと……その語尾はなんなのだ……
「今の所はなんとも」
「ふむ、そうか、なら問題ないのじゃ」
「あ、あの……いったい僕は……」
そう聞くと彼女は手をふって部屋の明かりをつける。
「どうなったか?と聞きたいのじゃ?残念ながらそれはワシも知らない、ただワシはお主を買っただけなのじゃ」
「はい……」
……なるほど。
つまり、思い出せないのは何かしら奴隷商にとって都合の悪い記憶があるという事だ。
今の俺は違和感があるが呪いによって違和感がなくなっていくのだろう……事実、こう思っていても思い出そうとする気が無くなってきた。
「私の元マスターの方は?」
確か羊の獣人だったはず。
「お前の昔の主人なぞ知る訳ないのじゃ、まぁ…。『あの方』の振る舞った肉料理……ジュルリ」
「?」
「お前、ラム肉というものを知っておるのじゃ?」
ラム肉って聞いたことあるな?えーっと、なんかの肉だっけ?
「聞いたことくらいしか無いです」
「そうか、解ったのじゃ……」
「すいません」
新しいマスターはがっかりしている。
「まぁ良い、ワシの名前は“ルカ”なのじゃ、解っていると思うが今後ワシの言う事には従う様に」
「はい、わかりました」
はぁ……奴隷生活にまた戻ったのか……
「……」
「む?」
俺は布団から出て地面におでこを付ける。
「これからよろしくお願いいたします、マスター」
「なななななにをしておるのじゃ!」
「???」
む?なんか焦ってる。
こんな事、奴隷の間じゃ常識なのに?
「どうかされましたか?」
「うぐ……その声と顔でやられると……」
「?」
「こ、これは命令じゃ!ワシの事はルカと呼び友達の様に接しろ!」
……………………はっはーん♪なるほど!そういうことか!
「うん!よろしくね!ルカ!」
「切り替えが早いのじゃ!?」
今回のマスターはきっとどこかのお嬢さんで友達が居なかったんだ!
だから奴隷を買って友達を作った、と言うこと!そうに違いない!
フッ……どうなるかと思ったけど、やっと俺はまともなマスターに出会えたんだ!やった!もう一生ここで俺を養ってくれ!……あれ?養うは違うか?まぁいいや!
「ルームシェアみたいな感じがいいのかな?」
「何を言ってるのじゃ?とにかく、友達と接していてもワシがマスターなのは忘れるんじゃないのじゃ!」
「うんうん♪」
ツンデレかな?
「ふぅ……なんかドッと疲れたのじゃ……」
ルカは肩がこったジェスチャーしてるので、すかさず俺は肩を揉む。
「こってますね〜お客さん」
「うへぁ、気持ちいいのじゃ」
お〜、本当に気持ちよさそうにしてる。
「それはよかった♪」
「この身体になって肩こりがひどくてのー」
「あー……わかる、ほんと肩こるよねぇ」
そうなんだよなぁ、俺もこの身体になって肩めっちゃこるんだよなぁ、絶対胸が原因だよこれ……………って?ん?
「“この身体になって”?」
「あ……」
「それはどういう__」
「な、なんでもないのじゃ」
「……」
ま、まぁ、あれか、うん、察した。
女の子に憧れたんだなこの人は……男から女になっても良いことないのに……
「き、今日はもう遅い、明日色々とお主の準備をするのじゃ、だからお主も寝ておくのじゃ」
「準備?」
「お主には明後日からワシと一緒に【魔法学校】に入学してもらうのじゃ」
嘘?まじ?
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