第249話 アオイちゃんお持ち帰り。
「っ!どういうことだ」
キールは集合場所へ行くとそこにはアオイを拘束しているエスの姿があった。
「動くな……動くと『黒狼』がアオイを殺す」
「ガルルル……」
「お、お前にとってもアオイさんは殺せないはずだ!」
リュウトがエスを説得しようとするが……
「そうだ、俺は殺さない、だから『黒狼』が殺す」
「どうしてですか!エスさん!」
「ユキ、俺はお前達と共闘したがそれは山亀内部に居るこいつを助け出すためだ、俺はお前達を利用したんだ」
「助けたのに殺すんですか?」
「俺だって殺したくないが、俺の立場上お前達にこいつを渡すわけには行かないのでな、渡すくらいなら殺してしまえと命令が出ている……俺が躊躇った時、『黒狼』がアオイを殺すだろう」
「殺したくないなんて意外と甘いんだね、ミーならもっと仕事に忠実に__」
「ジュンパク!」
「ご、ごめんよユキの姉貴……」
お互いが話が進まない中、口を開いたのはみやだった。
「みんなっ、聞いてっ……私達はその人を見逃すっ」
「みや!」
「みやさん!」
「どうしたのよ!」
その言葉にリュウトパーティーは何事かと声をあげるがみやは無視して話を進めていく。
「そのかわりっ、条件があるのっ」
「条件?」
「その人を連れて帰っても傷つけないでっ、悪い人に売らないでっ」
「……」
「……」
エスとみやは黙って見合い____そして
「良いだろう、俺から上の連中にそう提案する」
エスは提案を飲んだ。
「みんなっ、これでいいっ?」
「で、でも!」
アカネは納得出来ないと声をあげる……いや、納得いってない人の方が多いだろう。
『良いんだアカ姉さん!みんな!』
ここでずっと黙っていた『アオイ』が口を開いた。
『こんなのおかしいよ!さっきまで戦ってた仲間がこんなになるなんて!私は大丈夫だから!』
「妹ちゃん……」
『みんな、今回もミクラルの時みたいに会えたんだ……きっとまた会えるよ』
「行くぞ」
『うん……』
「ア、アオイさん!」
『リュウトくん……』
「俺!頑張るから!だから……待っててください!」
『…………うん!』
拘束を解かれたアオイは自らエスと一緒に歩き出し、キールの隣を通過するときに本人にしか聞こえない声で
『サクラ女王には気をつけて』
「え」
そう言って2人は消えていった……キールがその言葉の意味が解るのは、もう少し先の話である。
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