第247話 『女神』と魔王!
「やったな、アオイ」
『そうね、本当にやっとよ♪』
「!?」
エスはアオイの雰囲気を察知する。
「女神……!」
『あら、解るようになったんだね!えらいえらい』
そういって女神はエスの頭を優しい笑顔で撫でる。
本当の子供に撫でるような深い愛で……
「っ!」
エスはその手を振り払った。
「黙れ!その顔とその声で俺を惑わすな」
『あら、ざんねーん、大好きなアオイちゃんからだったのよ?』
「ちっ、なんで出てきた」
『そりゃ、もちろんこの力よ』
女神は先程の糸を出す。
『これだけは神の力だから私は出せないの、でも……フフッキャハハハハ♪ついに!ついに手にいれた!』
女神は本当に嬉しいのだろう、笑う。
笑う。笑う笑う笑う笑う。
そして、ある小さな声に気づく。
「た……すけ……て」
『ん?』
「……て」
見ると、そこは山亀が居た場所で今は山亀の臓器や腹甲がくだけちっている残骸の中。
そして一際大きな塊の腹甲の下から少女の声が聞こえた。
『エス』
「……」
エスはその腹甲を真っ二つにきるとその下には、白い髪を泥で汚し、踏み潰され全身の骨を折って血の花を咲かせてる。
『あら、あなたは』
みやの姿があった。
『キャハッ!みてみて!エス!ぺっちゃんこよ!運良く泥で埋まってて死んでないけどほとんどつぶれちゃってる!女の子よねぇ?顔はほとんど潰れてないね!どうやったんだろ?魔法?』
「……」
『あ!そっかぁ!愛しのリュウト様が助けてくれると思ってたんだね?でもざ〜んねんでした!ここに居るのはわたしで〜す♪苦しそうだよね?元の世界のスマホ?って言うの?それでTwitterって世界に配信してみたーい!これ!』
苦しんでるみやを見てまるで観光に来た人の様にキャピキャピしてる女神。
「……」
エスもみやを見ていたが死んでいく者に興味がないと言わんばかりに手を組んで黙っている。
『でも私はやさしーい、から聞いてあげるのよ〜?もう一回、何して欲しいか言ってみて?あなたの願いはなんですか?キャハハッ』
みやは話すのでさえ厳しい状況なのにもう一度聞き返している女神……人の苦しみを心から好きなのだろう。
「たす……け……て」
みやは最期の力を振り絞り目を向けて訴えかける。
『うんうん♪』
女神は優しく微笑み、手を伸ばして。
その目に指を突っ込んだ。
「が、ぁ……ぁ」
『キャハハハハ、助けるけどいじめないとは言ってないよ~?助けてもらうんなら私も楽しみたいし~、あ!そうだ!これで死ななかったら助けてあげる♪』
グチョグチョグチョグチョグチョグチャグチャとみやの眼球は押されすりつぶされ、綺麗な指がその目をもてあそび____
____最期に
ぶちっ
思いっきり目を引っ張っりとった。
「________!!!!!!」
あまりの苦痛にみやの身体は一度大きな痙攣をして動かなくなる____
__だが
『すごいすごい、まだ生きてる!もうすぐ死ぬだろうけどあなたの勝ちよ!』
女神濡れた自分の指を服で拭き、唱える。
『女神を楽しませた、魔王__『みや』の身体は全て元通りになり、その身体に残っていた封印。呪いも全て超絶キュートで世界一可愛いアオイちゃんに解かれ、復活するのであった。』
「…………」
女神の言葉通りみやの身体は完全に戻り、その目もすっかり元に戻っていた。
「ありがとうございますっ……女神様っ……」
みやはその場で騎士の様にひざまずき、お礼を言う。
自分のその真っ白な髪の先をも泥につけながらも……
『どういたしまして♪あなた、私を探してたでしょ?なんで?ストーカー?』
みやはそのまま顔を上げずに震えながら応える。
恐怖だ。下手なことを言うと殺される恐怖。
「は……いっ。私は昔、人間達に裏切られ、クバル村の教会地下に封印されていましたっ」
『うん♪』
「しかしっ……ゆ、勇者リュウトに封印を解かれ、共に冒険を__」
『うーん、話が長いなぁ?短くなるぅ?』
みやはその一言で脂汗をだして焦る。
「すいません!……すいませんっ!」
『謝るのはいいからさ?ほら?お姉さん優しいから♪』
「私を出し抜いた今のグリードを納めている魔王はどこに居るか聞きたいのですっ」
『ふーん、なるほど』
「……」
みやは黙って返事を待つ。
『わかんない♪』
「えっ……」
『それを知ってる女神は......そうだねぇ、私のお母さん?とでも言うべきかな?』
「「!?」」
「そ、それはどういうことですかっ!」
『この世界に元々居た女神よ』
「女神様が……2人っ?」
『そ、四聖獣もあなた達、魔王も作り出した張本人』
「そ、それならあなたはっ」
『それは、ひ、み、つ。1つ選びなさい。』
「な、何をっ」
『あなたを復活させるとき、私はあなたに仕掛けをしました♪それは発動するととても惨く残忍で見ている方も気持ち悪くなる事をされてあなたを殺す仕掛けです』
その言葉を聞いたみやは先程の出来事を思い出し、強烈な吐き気が襲った。
この言い方はそれ以上の事なのだろう。
『ねー?私もそんなことしたくないわけ?だから、これから私の力になってくれない?♪』
女神はウィンクする……その内容をみやは断れるはずもないのを知っていて敢えて聞いているのだ。
「は……いっ」
『やった〜♪じゃぁまずは…………その最後まで握っていたその手の中、見せてくれるかな?』
「っ!?!?」
みやはその手の広げると中には1つの指輪があった。
『わー!綺麗!』
女神はそれをとりあげる。
「そ、それはリュウトからっ」
『黙ってて?』
「は……い……」
『ふーん、なるほどねぇ、クリスタルドラゴンの鱗を加工して作った指輪ねぇ、リュウトくんもおしゃれなことするなぁ♪流石勇者。私の事を好きなのに他の女の子にこんな事するんだぁ?ハーレムっ奴かなー?あーあ、女の子はその人の一番になりたくなるものなになぁ~』
「……」
『これ、貰っていくね?その代わりあなたにもっと力をあげちゃう♪』
「はいっ……」
『女神はそう言うと、プレゼントのお礼にみやに力を与えるのであった』
「あ、りがとうございますっ」
『どういたしまして♪じゃね』
女神はもう興味を失ったのかそのまま踵返し歩き出し、その後ろにエスもついてゆく。
『さて、まずは今起こった事を隠すわよ、みんなが帰ってきたらちゃちゃっと記憶をいじって神やお母様を欺くわ、あなたも今まで通り、話をあわせて此方にまた来なさい』
「了解」
『さて、と……みんな~♪ちょっとだけお別れだけどまたすぐ会えるよ♪』
そう言って女神は大陸1つ飲み込むほどの魔法陣を展開した。
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