第238話 騎士達の集中を削いでしまう!


 「し、死ぬかと思った」


 「はは、慣れてないとそうなりますよね、アオイさん」


 何わろてんねん。


 「一応前にも同じようなことがあったんだけどその時もこんな感じだったんだよね」

  

 あれからリュウトにお姫様抱っこされ、無敵要塞みたいになってる世界樹のすぐそばまで来ていた。


 山亀と世界樹までの距離はもうそんなに無い。

 

 世界樹でさえかなりデカいのに山亀の方が大きい……


 「ここら辺で良いだろう、リュウト、エス、今からユキに報告する」


 3人はその場で止まり俺もリュウトの抱っこから解放され久しぶりに地面に足をつけた。


 豪雨によってドロドロになった地面は俺が降りたときにべちょっといって泥が近くに居たリュウトの鎧にかかってしまったよ……ごめん。


 キールが魔皮紙を取り出して魔力を流すとその魔皮紙が光って広がり空中にモニターになり、そこにはヒロユキのパーティーのユキさんが映っていた!何この通信手段!まじめっちゃハイテクじゃん近未来だよ!テクノロジーかどうかは別として!

 

 「ユキ、此方はアオイを救出した」


 {流石国を代表する騎士さんです!なら__}


 「あぁ、これで心置きなく、やれる」


 {分かりました、では【ヒロイン救出作戦】が成功したので最後の仕上げに入ります!}


 おい、待て、誰がヒロインだ、俺のことじゃないよな?な?


 「それと、もう1つ、いい報告がある」


 {なんですか?}


 「リュウトが見つかった」


 {本当ですか!なら早くリュウトさんに作戦を説明してリュウトさんのパーティーの所に合流してください}

 

 「わかった」


 ユキはそれだけを言うと通信を切った。


 「キール、その作戦は?」


 「あぁ、今から【山亀】の最大の弱点をつく、そのためにあちらには何万のアバレーの騎士達が居るはずだ、リュウトのパーティーはここからそう遠くない」


 「わかった、じゃぁアオイさんはもういっかい__」


 多分、リュウト君の次の言葉は「もういっかい俺が運ぼう」だ……だがそれを言い切る前に今までずっと黙っていた黒騎士のエスがもう俺をお姫様抱っこしていた。


 「あ、おい!」


 「お前のパーティーに行くのにお前がアオイを持っていったら修羅場になるぞ」


 「何いってんだ?修羅場?」


 ほんと、何言ってるんだろこの人……


 「二人とも時間がない、行くぞ」


 「くそ、後でその意味聞くからな!」


 「あはは……」


 もはや自分がお荷物と認識している俺はそのまま流れに身を任せることにした。





 配達ご苦労様でーす。

 



 そして____




 「見えてきたぞ」


 キールが装備についてるフードを被った頃、目的地ほ世界樹に到着した。


 下にはたくさんの黒い着物見たいな服を着た獣人達が整列をして待っている。


 なんかジャンプであったブリー◯みたいだな。


 「さて、確かアカネが持ってるな……ん?」


 キールは周りを見回すと何かの異変に気づく…………いや、正直言うと俺も気づいている。


 獣人達の目線は俺達に、ではなく“俺”に向かって注目されている。


 「なんて美しいんだ……」


 「あんな女がこの世に居ていいのか?」


 「俺、山亀を討伐したらあの女にプロポーズしようとおもう」


 「お前!女房いるだろう!」


 「関係ない!離婚だ離婚!俺はあの女のためなら全て捨てる覚悟がある」


 「ばか、聞こえるだろ!」


 「なんだ?なんで人間なんかがあの女に触ってる?」


 「おい、あいつら出来てるんじゃないか?」


 「まじかよ、やっぱり人間は殲滅するべきか」


 「いや、まて、ここであいつを殺せばいいんじゃないか?」


 「そうか!あいつより強ければ!」


 「あいつは許せん!」



 その声は次第に大きくなり段々と山亀よりもエスの方がターゲットになりだした……って、エスさん!?その「かかってこい、誰でも殺してやる」みたいに殺気だすのやめて!?なんか俺もびびるから!



 「これは……まずい!エス!アオイさんを隠してこれを着せてくれ!」


 キールは黒いローブをエスに渡して木陰に隠れる。


 俺は渡されたローブを羽織……うおおお、これ見てみて、めっちゃ魔法使いっぽい!


 そのローブを着たまま戻ると____


 「おい!あの綺麗な女どこいった?」


 「なんか森の中に行って帰ってきたらアイツ1人だけだったぞ?」


 「食ったのか?」


 「いやいや、人間が人間を食うのはありえないだろ」


 「じゃぁどこに?」


 「まぁいい、山亀を討伐した後アイツらにはじっくりと聞かせてもらおう」


 あれ?俺の事が見えてないのか?透明マントみたいな?


 「エス、アオイさんには着せたか?」


 キールがエスに訪ねる、目の前にいるぞ?俺。


 「あぁ、たぶん、今は近くに居る」


 なるほど、理解した。

 このローブは周りから俺を見えなくさせてるって事でおけ?おっけーだな!

 魔法の世界に透明マント……◯リーポッターみたい!


 「危なかったな、今ここで騒ぎを起こすわけにはいかない」 


 むぅ……俺も騒ぎを起こすつもりは無いんだけど……


 「アオイさんは勇者である俺の側を離れないでください!」


 うん、リュウトくん、俺も一応勇者だからね?それとそっちに向いてるけど背中にいるよ僕。


 「さて、では」


 キールは連絡を取る。

 モニターには懐かしのアカ姉さんが!うおおお!


 {キールさん!待ってました!妹ちゃんは!妹ちゃんは無事ですか!}


 どうやらモニター越しにも見えてないらしい。


 「あぁ、いまはちょっとした事情であのローブを着てもらってる」


 {む、わかりました……妹ちゃんのあの可愛い顔を見せないのは残念ですが}


 「それといい知らせがある」


 {なんですか?}


 「リュウトも救出した」


 {ほ、ほんとうですか!みんな喜びます!}


 「あぁ、今の場所は____」




 キールは場所を教えるとリュウトのパーティーはすぐに到着した。



 




 

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