第235話 アオイ救出完了!
「なるほど、またあの姿に……」
洞窟の外は豪雨で、落雷の変わりに攻撃魔法が鳴り響いている。
「でも良かった、あの状況のリュウト君は話せそうになかったからね」
「そうですね……アオイさんの判断は最良でした、もうあの姿で仲間を傷つけたくない……」
かっこええ言葉だな、主人公かよ!
「と、ところでこれからどうする?」
「それなら大丈夫、きっと、キールがなんとかしてくれるから」
「キール?」
あれ?どこかで聞いたことあるような、無いような?
聞き返したら待ってましたと言わんばかりにリュウト君が目を輝かせてテンションあがってる……無邪気な子供みたいだな。
「キールはすごいよ!アオイさん!そうだ!どうせ時間あるしキールの話しよう!」
「え!?あ、う、うん!解った」
あ、あれ?
俺は今この状況なんも分かってないんだどおお!?
なんでこんな事なってるか教えて!?
「キールは昔____」
そっからリュウトはキールの話をジェスチャー付きですごく楽しそうに話してくれた。
話を聞いてて途中で気付いたが……もしかしたらリュウトは俺を恐がらせまいと気を使ってくれていたのかも知れない……
______話し始めて数十分後。
「____そこでルコサさんがノルクレッドって魔物の下に潜り込んで罠魔法を発動させて!……と、来たみたいだ」
リュウトが話を止めるとまだ豪雨と光の弾が降り注ぐ洞窟の外を見て黙った。
……え?なんか見えるの?何その○ラゴンボールの気を感じるみたいな発言。
「?」
「まじか、なんであいつが……」
「え?」
リュウトは何かを感じ取ったのかあからさまな反応をしだした……だから何で見えんの!?何この子!
俺も同じ方向を見てると豪雨の中から2つの人影が……現れたと思ったらすぐに目の前に現れた!?
一瞬すぎて影しか見えなかったよ……こんなんじゃネットにアオイ視点とか書かれてバカにされちゃうぅ!
「キール、来てくれると思ったぜ」
「リュウト!?無事、みたいだな?」
「え?あれ?この人って」
「紹介するよ、グリード代表騎士のキールだ」
「やっぱりあの時の人だ!」
「また会いましたね、アオイさん」
キール!そうだ!あの時洞窟で助けてくれた人!
「え?え?」
リュウトは俺がキールを知っているのをびっくりしたのか俺達を見ている。
「あの時洞窟の中で救っていただきありがとうございました!おかげで二人とも無事に生きてこれました」
まぁまたピンチになってるんだけどね!
「そうか……良かった、本当に」
キールは泣きそうになってる……そんなに俺の事心配してくれてたのか……良い人だな。
「それで、キールはともかく、なんでお前が居るんだ、エス」
「…………アオイ、迎えに来たぞ」
「え?あ、はい」
ええ!?今のリュウトの言葉を無視!?思いっきり名指しだったよ!?
「おい!無視かよ!」
「ちっ……なんだ?また斬られたいのか」
「っ!」
え?なんか物騒な話してんだけど?斬られたいって普通に殺人予告なんだけど!?
「お前たち、いがみ合ってる場合じゃない、山亀から脱出するぞ」
「え?山が__うわ」
キールはそういうと俺をお姫様だっこで抱えた、うわ、なにこの安定感、寝れる。
「あ!キール!それは俺の役」
なんだ俺の役って!ちなみに俺が走ってもスピードは常人並みだからおんぶでもなんでもお願いするよ。
「この中で盾を持ってる私が一番安全だ、それにお前は何かあったときに攻撃にまわれるだろう」
「お、俺はレイピアが……」
「ヒロユキは武器召喚出来てたぞ」
「!?、ヒロユキもいるのか!ここに!」
「あぁ、お前の事を少し話してた」
「そうか!」
リュウトはかなり嬉しそうにしてる。
そうかそうか、我が弟はこの世界でちゃんと元気な強い友達が出来てるのか……良かった良かった。
「…………早く行くぞ」
エスは待ちきれないのかそのままきびす返して雨のなかを行ってしまった。
「そうだな、積もる話はこの討伐が終わった後だ」
「討伐?」
「我々は今大型魔物を討伐してます」
「え?あ、はい」
なるほど?つまりこの山に何かしら大きな魔物が居てみんなで戦ってるから俺は危険だと……ふむふむ。
「その魔物の名前は『山亀』、標高3000メートルのこの山です。」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?
お、おま!それ!えええ!?富士山とほとんどおなじやぞ!?
えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?
頭おかしいのか!でかいってもんじゃねぇよ!?
「ほら、行くぞリュウト、下でみんな待っている」
「おう、任せろ!」
そう言うとリュウトは手を横にかざして__
「【武器召喚】」
呪文を唱えると光が集まっていって見事な装飾のされた太く長いランスが生成された……かっけえええ!
「久しぶりだな、相棒」
相棒とか言っちゃってるよこの人!
とか言ってたらキールの後ろからバリアを抜けた光の弾が!
「あ、あぶな__」
お姫様だっこされてるから見えるのであってキールからしたら完璧に死角だ!
「【武器召喚】」
「え!?うぉあ!」
そのままキールの持っていた盾が光だして俺を抱えたまま裏拳のように盾で光の弾を弾いた。
「さ、行くぞ」
「おう」
な、何この人達……
「お、お手柔らかにお願いします」
俺はそのままお姫様抱っこされながら豪雨の中を運ばれていった。
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