第183話 強さを求めて辿り着いた場所!

 《別れて1時間後》


 俺はみんなの見えない所で座り込んで気持ちを落ち着けた後、地図を持って町をうろついていた。


 「えーっと……貰った地図だと、ここら辺にあると思うんだけど……」


 ちなみに地図は簡易的で元の世界で例えるなら車のナビみたいだ、現在地も向いてる位置も分かりやすい。


 「なんだろう、ペラペラな紙の上で魔法で動いてるのはすごいんだけどすごい既視感……」


 スマホの地図見てるみたいな感覚だな、これ。


 違う所と言えば柔らかい紙だから折り畳んでどこでも入れとける事かな?まぁでもこの町限定の地図なんだけど……


 その地図の目的地にはこう書いてあった。



 「えーっと、りゅう、が道場?」


 “龍牙道場”

 

 聞いた話によるとその道場は強くなりたい人達が集まる場所らしい。


 どうしてここを知っているかと言うと__


 「強くなりたい」


 たまこさんにミクラルの話をしている時に話の流れでそう言ってしまった。

 あの時に自分が強ければ子供達に怖い思いをさせずに済んだし、力があれば奴隷になんてならなかった。


 「あの時だって黒騎士を呼ぶ魔皮紙を持っていたからみんなを救えた、この前だって洞窟で代表騎士さんに会わなければ2人で死んでいたかも知れない……」


 全部運が良かっただけだ……この先、それがずっと続くはずがない。


 だからこそ、俺は強くならなければいけない、きっとリュウトくんやヒロユキも頑張ってる。




 その相談に乗ってくれたたまこさんが僕にこの地図をくれたのだ。




 「なんでも、たまこさんの知り合いがいる道場らしいんだけど」


 地図に従って歩いていくと段々と人通りが無くなってきてあるちっぽけな店の前についた。


 「え、えーっと……あ、あれれ〜?おかしいぞ〜?じゃなくて、たまこさんもしかして渡す地図間違えたんじゃない?」


 

 目の前の店は“道場”なんて物とは程遠く、ただの小さな木の古屋……屋根にはデカデカとした看板に“うまかっちん”と書いてあった。



 うん、何となくだけど雰囲気でわかる。


 前の世界でもよくお世話になった雰囲気のお店。



 



 「居酒屋だね、これ」







 








 

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