第172話 お出かけ!

 《数日後》


 「アオイ、来い」


 「はい」


 朝の支度をしていたらじいさんに声をかけられた、いつもなら特に声かけられないのだが……


 「出かける準備をしろ、今日から儂はすこし忙しくなるからの……お前に町までのルートを教えておく、これから先、食料がなくなりそうならお前が行く様に」


 「はい、わかりました」


 正直嫌だな……魔物がウジャウジャいるところに行かなきゃいけないなんて……改めてそんな考えをする俺って本当に異世界転生者らしくないよな、ま、俺の場合は転生じゃなくて転性ってか?

 

 そんなくだらない事を考えながらも俺はグリード城で最初に貰った服に着替える。

 

 「よし、行くぞ」


 「ユキちゃんはどうしましょ」


 「安心せい、今までお前が来るまで1人で居たんじゃから、留守番くらいは出来る」


 「わかりました」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《山道》


 薄暗い山道をじいさんを前にして歩いていく……

 

 周りには自分より高い木ばかりで、もしかしたら上から狙われてるのではないか?……例えるならシャンプーしてるときにずっと視線を感じるアレ。


 バキッ


 「ひぇっ!」


 「ただ木が折れた音じゃ、そんなに驚くな」


 「す、すいません」


 「もうすぐ目的の洞窟に到着する」


 「洞窟?」


 「うむ、山にはアヤカシがいっぱいおるので洞窟を通って町へ行くのじゃが」


 「アヤカシ……」


 そういや、ミクラルでは魔物をモンスターと言ってたな、国によって全部違うみたいだな?


 「その洞窟にはアヤカシは居ないんですか?」


 「……居る」


 居るんかい!じゃぁ変わんなくね?


 「だが、まだ見たことはない、噂だけ聞いたことがある」


 「噂?」


 「そこの洞窟に迷い混んだ者は黒い大きな影に頭から丸のみされて生きて帰れない、と」


 「うげ……」


 「ハッハッハ、所詮噂じゃ、帰れないならなぜその噂があるのか?じゃな」


 「そ、そうですよね」


 「じゃが、この洞窟にはアヤカシが近付かん……本能的に何かを恐がっているんじゃろう」


 「……」


 俺はその言葉を聞いて口の中の唾をゴクッと飲み込む。


 「油断するで無いぞ、何かあれば走って逃げろ」


 「はい……」



 そのまま、俺達は目的の洞窟へ到着し、足を踏み入れた。


 


 

 

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