第171話 一人足りない!
《おじいさんの家》
あの日から何気ない日常が戻ってる……大マスターとおじいさんが何を話していたかは聞いていない。
……だっておおよそ予想つくでしょ?延滞料金を支払ったのだろう、それを俺自身から聞くのはちょっと……
「おかぁさん見てみて!」
「お、すごいねぇ」
ユキちゃんはあの事件からと言うもの、魔法に興味を持ち始めて色々と手を出している。
今しがた外で遊んでる最中に俺の目の前で手に持った葉っぱを一瞬で蒸発させてた……うん、燃やすんじゃなく蒸発ね?火力高いんだろな。
「子供に火遊びを教えるってのも気が引けるよねぇ、あ、そういう夜の火遊びじゃなく物理的な……」
「?、何を言ってるのおかぁさん」
「気にしないで?」
「ねぇねぇ!おかぁさんもやってみせて!」
おっとついに来たかこの時が!
ふふっ、驚くことなかれ……俺はこの世界に来て結構経つがなんと!最近ようやく!魔皮紙と言うものを発動させれるくらいになったのだよ!
余談だが、それは今のユキちゃんでも容易に出来ます。はい。
だが安心しろ!こう言うときのためはいくつか考えている!
「いいよ、見ててね……」
「うん!」
目をキラキラさせてユキちゃんがスッゴい俺を見てくる……まさに、ワクワクてかてか!って感じだ……
俺は両手を某アニメのキャラクターみたいに上げてポーズをとる。
オラにみんなの元気を分けてくれ!みたいな。
「はい!」
シーーーーーーーーーーーン……
あたりに静寂が走る。
「……え?」
それもそうだ“なにもしてないのだから”
だが、おれには産まれながらに持ったスキルがある!
「フフッ、ユキちゃんにはまだ難しすぎて分かんないかな?」
そう!これぞ元の世界でも使っていた“子供騙し”だ!
「す……すっごーい!すごいすごいすごいすごい!やっぱりおかぁさんはすごい!」
うわぁ、子供って単純……ユキちゃんめっちゃ信じてるよ……心がいたい。
「こ、これが大人の魔法だよ、目に見えるもの全てが魔法じゃないからね?」
「うん!ユキもっとがんばる!」
「でも、魔法はむやみやたらに使ってちゃ駄目だよ?ユキちゃんだけじゃなく他の人も危ないから」
「はーい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じぃじ……また帰ってこないね……」
「うん……どうしたんだろ?」
あの日からじいさんは朝早くに出かけた後、大抵ユキちゃんが寝ている深夜に帰ってくるのだ。
ユキちゃんを起こそうかと思ったけどじいさんは起こさなくていいとさ……
後、あちらで夜ご飯を済ませてるのか帰ってくるなりじいさんはすぐに寝る。
「今日のローストビーフは上手くできたのに……」
俺は魔物の肉を使ったローストビーフを一口たべる。
うん、スパイシーな味付けにルモンの酸っぱさが相まっておいすぃ〜。
「ろーすとびーふって言うの?」
「ん?あ、そっか、こっちでは何で言うんだろ?……えーっと、お母さん特性の料理だからユキちゃん達だけだよ♪食べれるの」
「おかぁさんの特別おご飯?やったー!ユキね!おっきくなったらおかぁさんみたいにおいしい料理いっぱいつくるの!」
「ふふっ、それはいいね」
「そしたらそしたら!じぃじとおかぁさんに食べてもらっておいしいって言ってもらいたい!」
おぅ……健気……嬉しすぎておじちゃん泣きそうだよ……まぁ身体は女だけど……
「楽しみにしてるよっ、後もう1人ユキちゃんの将来の大切な人にも、ね?」
「たいせつなひと?」
あ、そっか……ユキちゃんって同じくらいの男の子と会ったことなさそう……ここ山奥だし保育園とか無いよね。
「うーん、お母さんくらい好きになる人、かな?」
「わかった!じゃぁユキね!そういう人に会ったら大きいお肉を料理してあげる!」
「いいね!お肉料理ならその子の胃袋もガッチリ!」
こうして、今日も二人だけで1日を過ごし、じいさんはまた深夜に帰ってきてすぐに寝ていた……
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