第116話 伏兵!
《ブールダ邸》
急ぐこと20分、時刻は深夜だと言うのにブールダ邸の門にはメイドが1人居た。
俺とアンナ先輩もやったことあるな。
「さて、と」
当たり前のように中に入ろうとすると__
「止まってください」
止められた……あ、あれぇ?
「こ、こんばんわ、何かな?」
「用件は何ですか?」
「えと、忘れ物を取りに来たんだけど」
「忘れ物?」
相手は何のことか分からないと言う顔をしている。
「あの……一応僕、ここのメイドなんだけど」
「え!?」
「その、こんな格好だけど今他の人の所へ出張?何て言えばいいんだろ……えと、出稼ぎに言ってるんだよね?」
説明するとメイド門番はペコペコ謝りだした。
「す、すいません、私数日前に入った、新人奴隷でして」
新人さん?やけに早いな?この前俺が来たばかりなのに……あ、俺はレンタルだからノーカンなのかな?
「いやいや、僕も入ったばかりだからさ、そんなにかしこまらやくていいよ?」
「私からしたら先輩になりますし、申し訳ありません!」
「なーにしてるのよ?」
そんなやり取りをしてたら誰か違うメイドが屋敷から出てきた。
誰だろこの人?
「あら、新人のアオイじゃない?…………あら?雰囲気変わった?」
え?なんで俺の事知ってんのこの人?
「あの……会ったことありますかね?すいません」
「え!?ストレートに言うわね……てかアンタそんな性格だったのね……ほら、あんたが掃除してるときに挨拶行ったじゃない?」
えーっと……
「あぁ、あの時の!」
あぁ!思い出した!お風呂掃除してたら来た人だこの人!
アンナ先輩よりも格上の人?だった気がする……
「思い出した?まぁ、いいわ、何しに来たの?」
「忘れ物を取りに来ました」
「そ?ならメイド寮までついていくわよ?」
「あ、はい……」
まずいな……このままでは屋敷にいかずに寮にいってしまう。
「こうなったら仕方ない……」
そのまま付いていき、人目があまり無いところに来た。
うーーん、摩訶不思議な事だけど話しといてもいいかな?
「すいません」
「ん?何かしら?」
「1つ聞いて欲しいことがあるんですけど」
俺はそのメイドに事情を話すと__
「え!?」
何故か驚きの表情をして俺を見る。
「?」
そして少し考えた後……
「……ちょっと私の部屋に来てくれるかしら?」
______________
__________
______
この先輩の部屋の内装は俺達が居た部屋と変わらないんだけど……中にある小物やアクセサリーが違うだけで雰囲気が変わるもんだな。
アンナ先輩はスッキリ派だったけどこのメイドの人は可愛い小物をたくさんおいてる。
「それで、その話なんだけど」
目の前に白湯の入ったコップが置かれる。
「はい」
「……この屋敷では、度々奴隷の面接が行われてるわ」
「はい、確かアンナ先輩も言ってました」
「面接で落ちた人の補充に新人の若い奴隷を補充してる」
「はい」
「今回補充されたのは二人よ」
「つまり、二人落ちた…………っ!」
まさか!
「そう……アンナよ……そして落ちた奴隷は地下室へ連れていかれる」
「その地下室で一体何が?」
「解らないわ、誰もそこには行った事ないと思う……ただ、怖い噂は聞くわね、アバレー王国の獣人用に食肉にミンチにされるとかね」
「……」
あ、あれ?
「どうしたの?」
な、なんだこれ、すごい眠くなってきた、なんで__
「い、いえ、何でも、ないです」
「そう?」
何かおかしい……その直感は当たっていた。
「何もないはず、無いわよね?」
「っ……」
「効いてきたみたいね」
まさか……白湯に薬を……
「なんでこんなことするって思ってるのかしら?教えてあげる」
そのメイドは耳元で囁く様にハッキリと言った。
「私はマスターの協力者よ」
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