第54話 奴隷オークション!
大広間に響く軽快な音楽と共に、優雅なドレスに身を包んだ貴族たちがパーティーを楽しんでいた。
煌びやかなシャンデリアが華やかな光をまき散らし、広間はまさに夢のような空間と化している。
微笑みと笑い声が響くなか、美しいダンスが舞台の一部となり、色とりどりの料理がテーブルを埋め尽くしている。贅沢な飲み物が振舞われ、貴族たちは気品ある会話を交わし、この特別な夜を祝福していた。
「ふむ、良い料理だ、これをもうひとつ頂こう」
「なんというんですかね?この料理は」
「すいませんね、この料理は作らせたが良いですけど名前が決まってません」
テーブルに並ぶ数え切れないほどの料理。
肉料理、魚料理、デザートと多岐にわたり、一品一品の前には顔写真と番号が添えられている。
「今回はコイツが目玉商品みたいだな?」
「そうでございますお客様、この奴隷は特に全てが最高級、どこに出しても恥ずかしくない自慢の奴隷です……他にも獣人や力強い男などもおりますゆえ、どうぞごゆっくりと」
「ホッホッホこれは今回も荒れそうじゃのぅ」
そう、この館は
この時期になると調教した奴隷達が売買されるのだ。
「最近奴隷商人がめっきり減っちゃってねぇ、なんでもグリード王国の国王自ら奴隷を買い占めたとか?」
「あらそうなの?国王が?珍しいのね?」
「奴隷が枯渇状態の中でも『女神の翼』はちゃんと商売してくれて助かるわぁ」
「そうよねぇ、ここに来れなかった方達も嘆いていたわ、なんでも奴隷を何人か殺しちゃったから補充がしたかったとか」
「あらあら、馬鹿よねぇそういう遊びもあるけど逆にそっちの方が処理が面倒なのに」
みんながそれぞれの世間話を交わし、和やかな雰囲気が広がった頃、周囲が徐々に暗くなり、正面の壇上に大きなモニターが浮かび上がった。
そして、その傍らにシルクハットを被った中年のおじさんが姿を現した。
「みなさん、よくお集まりになられました!本日我ら女神の翼の奴隷販売が間もなく始まります、買ってもらった奴隷は何しても構いません、ですが、今回特別に一人だけレンタル料金になります、しかし、その奴隷をレンタルして頂いた方は損しません、何故ならそれほどまでに綺麗で美しく主人に忠実な完璧な奴隷です!レンタルにしなければ戦争が起こるかも!それほどまでに美しい!価値の高い宝石のようなものです!」
レンタルにすることでみんながチャンスがある。
だから暗殺などリスクの高いことをしてその特別な奴隷を盗もうとするなと言う事だろう。
待てばいいのだから。
「さぁ!始まりますよ!」
そして奴隷商売オークションがはじまった。
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「さぁ、次の29番と30番!この奴隷達は顔は微妙だが力仕事が大自慢!お屋敷に何か建てたい方や裏コロシアムで使われる方、はたまた冒険者に登録し稼がせるなど力が強いだけでこんなに使い道が!」
「どちらも合わせて100万」
「29が200万」
「30が500万」
「さぁ!29が200万30が500万でました!どうでしょうか?」
「29に300万!」
「30に750万!」
「どちらもあわせて6000万」
「おーっと、これはどちらも同時購入で6000万です!他にいますか?居ないようですね、終了!落札者はグリード王国のマルユウさん、おめでとうございます。奴隷は後に冷凍睡眠カプセルにいれて送らせて頂きますね」
会場がヒートアップする中、その人物がモニターに映し出された瞬間、一同は息を呑み、興奮が漂った。
檻の中には、赤い髪の獣人と、まさにこの世の美と気品を極めたかのような最強の美女が座っている。
その容姿はまるで芸術品のようで、澄み切った瞳は青い海に映し出される宇宙の星々を反映しているかのように輝き、その美しさはまさに夢幻的で、会場全体が彼女の魅力のブラックホールに引き込まれていくかのようだった。
「美しい......」
「なんて可憐なんだ」
「神はあのような娘をなぜおつくりになった」
「あの肌、舐めまわしたい」
「父上、あの女性を私の嫁に」
「バカ者、奴隷を嫁には出来ぬ」
「さぁ、みなさん始まりますよ、では紹介させて頂きます。今回の目玉!レンタル奴隷!35番!見た目は説明しなくてもわかりますね?さらにこの奴隷は見たこともない調理法でベルドリの肉を調理し、あの料理をつくりました!さらには家畜を育てる才能もあり、この奴隷の育てた家畜は肉の質が最上位ランクに相当するような美味しさになります!まさにパーフェクト!もう一人の34番は__」
みなが説明を待たずに我よ我よと掲示しだす。
しかもこの奴隷商売初の一人に億超えだ。
「35番に一億!」
「いや!俺は一億五千!」
「あれは私の部屋に飾りますわ!二億!」
「契約はレンタルなので最高一年です。では!どうぞ!」
「えぇーい!レンタルなどまどろっこしい!」
「しかし、あれだけの美貌それも仕方なし」
「くそ!一年で二億五千万!」
「一年で三億!」
「さぁ、三億です!他に居ますか?一年で三億!居なかったら終了になりますが?」
「3ヶ月で四億さね」
明らかに価値がはねあがる一言が響いた。
みながその人に注目する。
その人は白髪の細身のおばあさんだった。
「なんだい?みんなして見て、あの女にはそれほどの価値があるのをみんな解ってるさね、それを安く買おうだなんて言ってる暇なんてないよ、とりあえず私が3ヶ月借りてみてみるからここは私に譲るさね」
「さぁ、3ヶ月レンタルで四億、他に居ませんか?居ませんね?では!落札者は《ミクラル王国》《ナルノ町》ブールダ様!おめでとうございます!後に取り扱い書と一緒に冷凍カプセルで送らせて頂きます。」
「ちっ、まぁ3ヶ月なら待っていいだろう」
「父上、ダメかな?」
「3ヶ月なのに四億はうちには無理だ、赤字になっちまう」
「ブゥー」
そして、奴隷商売が一段落した後。
35番は3ヶ月四億というあり得ないほど高い額を叩きだし冷凍カプセルに入れられ搬送されるのであった。
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