第41話 山頂付近!

 《山頂付近》


 「本来ならここにメルキノコがあるはず……なんですけど」


 あれから肌を斬りつける寒さの中、山頂付近に着いたのだが……そこは雪景色が広がるだけだった。


 ついでに俺は靴など履いてないので雪を直に踏んでる……これで凍傷になってない所を見る限りこの服の魔法は一応効いているのだろう、めちゃくちゃ寒いのは変わらないけどね!さっむ!!


 「本当ならここに《クバル草》が生えてて『メルピグ』ってのが居るんだよね?」


 「はい、ですがここまで来るのにほとんど魔物がいなかったのと同様で目的のやつまで居なくなってますね」


 「運が悪いのかな?」


 「運とも言い切れないかもしれません、先日35番さんに話した通り山頂の管理が外れた事で何か生態系が崩れたのかもしれません……普通ならここで「居ませんでした」とギルドに帰って報告するんですが……」


 チラッとリンは此方を見た。

 そう、だよね。

 

 「うーん、僕達も『ありませんでした』って報告したいんだけど報告手段が無いんだよね」


 「ですよね……そのままギルドに35番さん達の事を報告するのも排除される可能性があって危険ですし……」


 「排除?」


 「例え話ですけど、ギルドに報告しようとしたら口封じで殺される、とかあり得ません?」


 「う……確かに」


 商品だとしても背に腹は変えられない。

 自分たちに危険が及ぶのならきっとトカゲの尻尾を切るみたいにアイツらは俺を殺すだろう。


 「なら僕は一旦森まで戻ってどこかで待ち続けるからリンさん達は帰ってまたここに」


 それを聞いてもリンは渋い顔をして告げる。


 「たぶん、それは無理でしょう……武器も防具も魔皮紙もないあなたが次に僕達が来るまでに生きている可能性の方が低いです」


 う……


 「だけど」


 「?」


 「まだクバル村の人達しか知らない“山頂”……そこが残ってます」


 「おぉ?お?」


 「大雑把に話すとギルドに内緒で未知のエリアを探索出来るって事です」


 「なるほど……」


 「しかし、そうなると情報がない分、危険は承知の上になります……どうしますか?ヒロユキさん」


 後ろで黙ってついてきてたヒロユキに声をかけるリン。


 「……元々山頂に行くのも視野に入れていた……行こう」


 ヒロユキは快く了承してくれた!


 「ヒロユキさん!」


 「ヒロユキくん!」


 ふぁぁぁぁああ!!弟よおぉぉぉ!あぁ!弟よ!弟よ!お兄さんお前の優しさに泣きそう。


 「……それと、リン」


 「はい!なんですか?」


 「……あそこ」


 ヒロユキが俺たちの後ろを指さしたので振り向くと__


 「ショウ……」


 そこにはリンと喧嘩別れをしたショウの姿があった。


 「頭を冷やしたか?」


 「おかげさまでな、色々と決心が付いた」


 ピリピリとした空気がはりつめる。


 俺もヒロユキも、そのまま何も言わずに会話を聞く。


 「そうか、ショウ……それなら言う事があるんじゃないか?」


 「そうだな……」


 ショウはズカズカと雪の足跡をたてながら“俺の前へと来た”



 へ?……って近!


 めちゃくちゃ近い!


 女になったときに身長が縮んでるから俺が見上げる形になっているけどこのままだとキスしそうな距離よ!?○チョウ倶楽部みたいな!?


 

 「よく聞け!」



 「は、はい!」





 この場で誰もが思うのは一つ。


 “謝罪の言葉”


 それが出ると思ってたが……しかし、次に出た言葉は俺の人生で初で聞く言葉だった。



























 「俺は、お前が好きだ。」


















 …………………………へぁ? 









 「は、はい?」


 聞き直してしまった、人生初……男から告白だよ?


 気のせいだよね。気のせいであってほしい。気のせいであれ!!


 「だから、お前が好きだ、一目惚れだ」


 気のせいじゃない!!!!!!!!!


 リンが息を飲んでる。

 そして俺は理解が追い付かない!

 え、と言うかこの状況で告白?


 「ショウ!何いってるんだ!」


 「うるさいリン!あぁそうだよ!俺もお前と同じだ!こいつを、見ると胸がドキドキしてつい判断を間違えたりしてしまう!それが嫌だから感情を抑えて辛く当たってつきはなしてたが駄目だ……どうしてもこいつが頭から離れねぇ」


 「お、おま俺は別に」


 「見たら解るんだよお前は!だけどこうなった以上、お前も腹を括れ」


 あ、あの~俺を無視して話が進むんだけど!?


 むしろリン!お前もそういう目で見てたの!?でも明らかに今ここで俺が「あ、ははは、二人とも冗談がすぎるよ?」とか言っちゃうと絶対にヤバイことになる、俺はとりあえず話が落ち着くまで会話を待つことしか出来なかった。


 「う……そ、そうだけど、そんなことを今言うことじゃ」


 「いーや、リン……これは俺達の今後にかかわる重大な事だ!覚悟を決めろ!」


 「ショウ……」


 あれ?リンさんもすごい決心した顔ですね、まじ?


 「好きです、35番さん、僕も一目惚れしました」








 リンは恥ずかしいのを隠せてないがハッキリと言った。

















 オウマイ____ゴッドオオオオオオオオオオ!!!!?!?!








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る