最終章 秦の愁天武 天に在って願わくば②
3
その後、生前の遺言もあり、天武の死は一年間、伏せられる事態となった。
天武――始皇帝の存在は、いつしか世界の礎になっている。従って、天武の死を敵国に知られれば、咸陽は終わる怖れがある。
つまりは、一年は天武の存在自体を利用し、秦は敵国の襲来を防ぐ手段を講じた。
しかし、嫡子の天亥にだけは天武の死を知らせ、傀儡の王に仕立てた。
陰謀は水面下で行われる。中心人物は殷徳と姫傑。
二名は太子愁天亥に悪を囁き、父、天武以上の恐怖政治を率先させる。
天亥に殺人をさせ、天亥の罪悪感を募らせ、無謀な政策を進んで行わせた。
長城の無駄な拡張、徴税の引き上げ、更に遊牧民族への意味なき圧政に、地方に対しての力業の出兵。
結果、天亥の政策は、綻びだらけになった。
天武のような強い意志も、牽引力もない太子に対し、民衆、とりわけ侵略国は不満と、不信感を募らせ始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます