『最後のシミュレーション』 

やましん(テンパー)

『最高の最後のシミュレーション』

 『勝手にしゃべらないで。』


 『はあ?』


 『これは、あなたの最後のシミュレーションだから。きちんとね。』


 『台本なんかないじゃないか。』


 『台本は、その都度できる。プロデューサーをばかにしないでよお。』


 『だって、苦しいじゃないか。』、


 『なんの。最後は、はるかに、苦しいよ。だから、ドキュメントになる。』


 『だれが、たのしむ?』


 『あんたの、ファンさ、ま、逆の意味合いでも、あるかな。かつての、上司たち。』


 『いつが、本番かい?』


 『だれも、わからないさ。しかし、この、ゲームの神は、すべてをみこしている。君が勝つことも、ないではない。楽しめ。毎晩。苦痛にあえげばよい。楽しみが増す。』


 『おろかな。』


 『そうさ、おろかなのさ。それが、あなたのしごとだ。さいごまで、おろかでなければならぬ。』


 『そうか。でも、最後に、愚かな花を、見せてやるさ。』


 『そりゃ、たのしみだな。下層サラリーマンが、花を咲かせるか。よかろう。愚かな花をみせるがよい‼️』


 『悪魔にも、眼力がある。よいものは、よい。


 ははははは!


 深みにはまり、溺れるがよい!


 どろどろに、溶けるがよい。


 さあ、時間はすくないぞ。


 おろかな、負け犬、敗者、敗走者。


 貴様の運命は、動かない。


 見るがいい。


 成功者たちを。


 敗者のさいごを見学


 ははははははははははは。


 やつらは、結局は、至高者の傀儡にすぎないし、多少は、ましな生活が可能なだけだ。


 それでも、プライドは、高いぞ。


 あんたとは、おおちがいだな。』


『勝手にいってろ。』


 神秘なる調べがちかずく。


『おう、シベリウスの6番だ。ぼくの、最後だ。』


『なんという、あああ、気高い! うごけないぞ。』


 悪魔は、動けない。


 『ああ、やっと、開放される。解き放たれる! なにものも、もうぼくを、遮れない!     

 

 これが、音楽だ。


 これこそが、最後の切り札さ。


 さあ、ゆこう!


 真理をさがそう!


 





 ・・・・・・・・・・・・・・・・

  





 

   


 


 



 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『最後のシミュレーション』  やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る