第四話 さあ、ホッキョクちほーへ
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「確か朝食は8時頃だったわね」
朝食はいかにも和食といった焼き魚やお味噌汁が並んでいた。
「どうぞ」
「美味しい」
「よかった、味見はミライさんにしかやってもらっていなかったから不安だったんだ」
「ミライさん?」
「このジャパリパークでは知らないフレンズはいないガイドさんだよ、動物好きで私たちでも知らないようなことをたっくさん知ってるんだ」
「へー」
それからは忘れ物がないか確認してチェックアウトすることにした。
「チェックアウトお願いします」
「このホテルはどうでしたか」
「ジャングルっぽくていいホテルだと思うよ」
「そうですかー、よかった。では引き続きジャパリパークをお楽しみください」
僕たちはホテルを立ち去り、ラッキーさんが言うようにパークセントラルに戻ることにした。
「昨日乗った電車とデザインが違うね」
「そうね、行きは確かサーバルキャットをモチーフにしていると言っていたような」
「でもこの電車はラッキーさんと同じ見た目だな」
同じ景色でも普段僕が目にできないような自然であふれた光景に飽きるはずもなく、じーと車窓から外を眺めていた。
「着いた、着いた」
「確か、港はこっちの方向だったよね」
港へ着くと、ピーチパンサーさんがいた。
「あら、お帰りでしょうか」
「いえ、これからホッカイチホーへ行くんです」
「そうですか、私も行った事はありませんが、かなり寒いらしいので気をつけてくださいね」
「うん、わかった。ところでその箱の中って何が入ってるの?」
「私のお店で売るための商品が入っているんです。たんけんたいやジャパリ団のみなさんから頼まれたハロウィーンの飾りやお菓子が入っているんです」
「へー、ちなみにどうやって仕入れてるんですか」
「ああ、ミライさんが仕入れの手はずを整えたり、ジャパリコインを出してくれるんです」
「ミライさんって本当にすごい人なんだね・・・」
「出航まではもう少しかかりますので中でお待ちください」
「ちょっと外に出てもいいかな?」
「んー、あと30分ぐらいあるからいいけどどうして?」
「船の絵を描いておきたいんだ」
「たしかにクジラの形をした船なんてここ以外どこにもないもんね」
海のさざめきの音を聞きながら、お父さんに教えてもらった通りに黒い色鉛筆で輪郭を描いてから、色を塗り始める。
「出来た!」
風に飛ばされて、あれよあれよという内に
「俺がとってきて来る」
「あなたは?」
「ブラックジャガーだ」
海に飛び込むやいなや、かなずちの僕の違って、まるでプロみたいにしなやかに泳ぐ姿に驚かされた。ジャガーって早いのは足だけじゃないんだ。
戻ってくると、ブラックジャガーさんの手に海水を吸ってしわくちゃになってしまった僕の絵があった。
「すまん、俺がもっと早くとっていれば」
「いやいや、わざわざとってきてくれてありがとう」
「しかし、これでは」
「絵はまた描けばいいから。でも、なんでわざわざ取りに行ってくれたの?」
「困っている子がいたら助ける、それがジャパリパークだからさ」
そういうと立ち去ってしまった。
「かっこいいね」
「うん」
「まもなく出航の時間となります」
「じゃあね」
「うん、またね」
ホッキョクちほーではどんなフレンズさんと出会えるのかな
さらなる期待を膨らませながらしろながす号に乗船し、ここに来た船の客室と似たような間取りの部屋にある窓際の椅子に座って、港から見送ってくれるピーチパンサーさんに手を振り返した。
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???「記憶・・・残す」
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