第三話 草木萌えるジャングル

 パークガイドさんにもう一度バスに乗せてもらってアンインちほーまで連れて行ってもらった。目的地に近づくにつれて、森が見えてきて湿度が上がってきたように感じる。

「なんだかむしむししてきたね」

「うん、さっきの暑さとは違うや」

「ジャングル地方は熱帯雨林気候になってるよ。年中を通して雨量が多くて人の背丈よりずっと大きい植物もたくさん生えてるよ」

「へー」

「ちなみにそのラッキービーストは車の運転もできるんですよ」

「ガイドも運転もできるなんてすごいですね」

「下世話な話ですけどそのおかげでパークガイドの職員数を削減できているんです。ジャパリパークはまだ収益が得られていないので倒産しかねないんですよ」

「えー」

「でもフレンズさんはここでしか見られないから来る人は多いと思うけどなー」

「あそこに見えるのはオセロットさんですね」

「木登りが上手なんですね」

「多くのネコ科の動物は木登りが好きなんですよ」

「よくあんな高いところまで・・・」

 すると、オセロットさんが木から降りてきて話しかけてきた。

「君、木登りできないの?」

「できませんよー」

「どうして、楽しいよー。木の上でお昼寝するのは気持ちいいし」

「高いところは苦手で」

「そっか、じゃあね。木登りの仕方を知りたかったらまた話しかけてね」

 そう言うとまた木に登ってお昼寝を始めた。

 インドゾウさんがオオフラミンゴさんと一緒に踊っていた。

「素敵な踊りですね、何か名前はあるんですか?」

「ジャパリ盆踊りよ、あなたも踊ってみない?」

「はい」

 僕は学校の体育の授業でダンスをやっていて自信があったけれど、少し難しいというかみんなに見られていて少し恥ずかしい。

 ジャパリパークは広いので移動するだけで時間がかかってしまいもう夜だ。

「どうしよっか、まだ全部のちほーを周れりきれてないけど」

「まさか動物園の中に泊まれるところなんてないしね」

「このあたりにいい宿泊所があるよ」

「本当に?」

「はい、ジャパリパークの全チホーを周りきるには最低でも2日かかるので要所要所に建てられているんです」

「そんなに!?」

「アイはまだ行きたいところある?」

「まだまだあるよ」

「そっか、じゃあ今晩は泊めさせていただきます」

「わかりました、では出発します」

しばらくパークガイドさんが運転を続けていると、ラッキービーストさんが話し出した。

「そろそろ運転時間の合計が3時間になるよ、交代してもいいかな」

「ん?」

「ああ、ラッキービーストさんが私の代わりに運転してくれるのですが、よろしいでしょうか」

「ええ、かまいませんよ」

ラッキービーストさんはハンドルを握らず、自動で運転が始まった。

「自動運転なんですね」

「はい、もう少しすればジャパリパークの案内の殆どはラッキーさんが担うことになります。私の仕事はラッキーさんが混乱しないように管理することぐらいになりそうです」

「すごいんですね」

「そういえば飼育員さんとかはいないんですか」

「飼育員の方はいますけど今はフレンズさんが自立して生活出来ているので、フレンズになりたてか、していない動物を探して保護するのが仕事になってますね」

「全員がフレンズさんではないんですね」

「はい、そうなんです。あっ、宿泊所が見えてきましたね」

「ジャングルホテル ガラパゴスね」

「いらっしゃいませ」

「こんばんわ」

「ご宿泊ですか?」

「はい」

「一泊100ジャパリコインとなっています」

「安いわね」

「はい、大したサービスは提供できませんので、ではお部屋へご案内しますね」

 宿泊所は天井がガラスで満天の星空が見え、部屋の中は木目調でツリーハウスぽかった。

「いい部屋だね」

「うん。あっ、絵を描き忘れちゃった」

「ありゃ、明日からは気を付けないとね。そういえば、はやく日記も書かないとね」

「何書こうかな」

 いつもは書く内容がなくて悩むんだけど、今日はいっぱいたのしいことがあったからどれにしたらいいのかわからないや。

「踊ったことはどうだ?写真も撮ってあるぞ」

「それにしようかな」

(今日はジャパリパークに来ました。最初はカンサイチホーという砂漠があるところに行ったのですがすごくあつかったです)

(途中にスナネコさんに会いましたがすぐに飽きられてしまいました。次はアンインチホーに行きました)

(そこは熱帯雨林という砂漠とは違ってむしみしした暑さでした。そこではインドゾウさんとオオフラミンゴさんに踊りを教えてもらいました)

「終わったー」

「どれどれ、なかなかいいじゃない」

「うん、いつものつまらなそうな日記とは違うな」

 やきそばとフライドポテトとジャパリマンという屋台のようなご飯だったがおいしかった。料理担当のジャガーさんはもっと修行して魚料理をだせるようになりたいらしい。

 温泉旅館のような露天風呂のように、ジャングルの中にお風呂がある不思議な感覚だった。

その後は眠たくなってきた。

「移動で疲れたもんね」

「おやすみ」

(明日はどんなフレンズさんと会えるかな)

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