第二話 到着

 長い船旅を終えてついにジャパリパークに着いたみたいだ。来園を歓迎するように"Welcome to Japaripark"と書かれた門が部屋の窓から見える。

「やっと着いたね」

「うん、長い船旅だったな」

 船を降りると、船から出てくるのを待っていたようである人が話しかけてきた。

「ジャパリパークへようこそ、ごゆっくり楽しんでくださいね」

「はい」

 話しかけてきた人をよく見てみると、見た目はどう考えても人間だけどお耳と尻尾がついていた。もしかしてこの人はフレンズなのかな。

「どうしました」

「ええ、試しに耳を触ってみますか」

「いいんですか」

「ええ」

 お耳は温かく、僕たちと同じように血が通っていることはすぐに分かった。コスプレではないということは間違いない。

「よかったら私のお店に寄っていってくださいね、いいお土産も売ってますから」

「わかった、じゃあね」

 港から少し歩くと、何だか楽しそうなにぎやかな音が聞こえてくる。もう少し歩くと多くの店や遊園地にあるようなアトラクションがひしめき合う場所にたくさんの人たちでにぎわっていた。

 パークセントラルというジャパリパークの中心地であり、入園ゲートである場所に入るためには入園券が必要だそうで受付の人に渡すとロボットがぴょんぴょんしながら近づいてきて話しかけてきた。

「僕は、ラッキービースト。ジャパリパークを案内するよ。よろしくね」

「よろしくお願いします」

「ラッキービーストはジャパリパーク内にいる時各ちほーの案内やフレンズさんの紹介を私たちの代わりにします。色んな質問を一度にするとフリーズしてしまうので注意してください」

「分かりました」

「またジャパリパーク内でのみ使えるジャパリコインが園内で購入できるのでよろしければご購入下さい」

「そんなものあるんだ」

「はい。では、ジャパリパークをお楽しみください」

改めて景色を見てみると、やっぱりすごい

「すごーい、まるで動物園じゃないみたいね」

「うん、動物園をテーマパーク化したものがジャパリパークだもん。ここにしかないと思うよ」

「あそこで働いているのもフレンズさんかな?」

 そこにいたのはお店で売り子として働いているフレンズさんだった。当たり前のように人と話したり、働いたりしているってよくよく考えるとすごいなー。

「ジャパリパーク名物、ジャパリまん。いかがですかー」

「温泉地にあるような温泉饅頭にたいなものかしら」

「買って、買ってー」

「はいはい、6個ぐらいでいいかしら」

「ありがとう」

 てっきり饅頭というのだから一口サイズかと思っていたけど両手でやっと持てるぐらいで肉まんぐらいの大きさだ、早速食べてみよう。

「美味しい」

「うん、今までこんなおいしい饅頭たべたことないよ」

「中身はあんことかカレーとかお肉が入ってないものばかりね」

「フレンズさんは元々動物だったんだから配慮してるんじゃないかな」

「なるほど」

 しばらく、ぶらぶらしながら売られている物を見てみるとフレンズさんの人形やジャパリと名前がついたサイダーやポテトチップスが売られていた。

「どうせここは帰る時にも寄るんだから早く他のちほーに行こうよ」

「そうね、どこがいい?」

「うーん、サンカイちほーがいいかな」

「どうしてそう思ったの?」

「砂漠を見てみたくて」

「なるほど、でもサンカイちほーまではどう行ったらいいんだろう」

 その時ラッキービーストの目が緑色に発光しながらこう言った。

「検索中…検索中…検索完了。ここから3分ほど歩いたところにある駅からモノレールにのって終着点まで行って、そこからはバスで移動するよ」

「賢いのねー、しかもここに地図が表示されてるわ」

「本当だ、ジャパリパーク内の地図は案内書以外どこにも載ってないから助かるな」

 モノレールに乗るために駅へ行き、乗るためにはお金が必要だそうで電子マネーで支払うとポーンという音とともにゲートが開いた。

 景色を見るために運転席がある先頭車両に乗ると、有人運転でも無人運転でもなくラッキービーストが運転していた。

「すごいわね、ラッキービーストって運転もできるんだ」

「頼りになるわね」

「なんでも僕にマカセテ」

 アヅアエンまえ、カイジュウエンまえを通り過ぎ、終点の駅へ着いた。

駅から出ると、パークガイドさんらしき人が車に乗りながら待っていた。

「こんにちは、サンカイちほーまで行きたいのですが」

「はい、では後ろの座席に乗ってください」

 バスとは言ってもオフロード車でいかにも探検に向いていそうなかっこいい車だけど動物の耳を模した飾りや色のおかげでかわいらしくも見える。

 さっきまでは緑が生い茂っていたけれどだんだん地面が砂っぽくなり草木は殆どみられなくなった

「さっきの環境とはずいぶん違うんですね」

「ええ、サンドスターのおかげで各フレンズにあった気候が形成されているんです」

「サンドスター?」

「はい、この島だけで確認されているまだ謎が多い物質です。フレンズたちが生まれた原因もこれだと言われています」

「そうなんですか。じゃあサンドスターがなくなると」

「恐らく元の姿に戻ってしまうと思います」

「そうなんですか」

 しばらくすると、ちほーの第一フレンズを発見した。

「スナネコさんですね、飽きっぽいので何か面白いことをしないとすぐどこかへ行ってしまうんですよ」

「こんにちは」

「こんにちは」

それ以外は話しかけてこず少し間が空いて

「何か面白いことはないのですかー」

「えー、例えば僕の絵はどうですか」

「絵ー?」

「おー、これは君が描いたのですかー?」

「はい、一応」

「うまいですねー、満足・・・」

「あ、ありがとうございました」

「近くに脱出ダンジョンがあるんだけど、ちょっと行ってみない?」

「行く行く」

「ようこそ地下迷宮へ、君は無事に出口まで辿り着けるかな?ウッフッフ」

「すごいわね、まるで本当の遺跡みたい」

「あっ、あの人もフレンズさんかな」

「ようこそ、地下迷宮へ。何名様ですか」

「大人二人と、子供一人でお願いします」

「はい、では地下迷宮から脱出できるよう頑張ってください。一緒に探検するフレンズさんを選べますがどなたがよろしいでしょうか」

「うーん、じゃあ尻尾が生えていてフードを被っているフレンズさんでお願いします」

「おー、俺を選ぶとはお目が高いな!」

「何のフレンズさんなんですか?」

「見れば分かるだろ、ツチノコだよ!」

「ええ、ツチノコっていないはずじゃ」

「いるにきまってるだろう、ここにいるんだから」

 その後は迷路で四苦八苦したものの、ツチノコさんの他のフレンズさんについてのお話を聞きながらなんとか脱出することができた。

「楽しかったねー、次はどこに行こうかな」

「一番近いところだとアンインチホーがおすすめだよ。都会のコンクリートジャングルと違って本物のジャングルを見られるよ」

「じゃあそうしよっか」

「ありがとう、じゃあね」


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