第2話 大学1年生 春

駅から大学までまっすぐ伸びる坂道が好き。両脇に街路樹が立っていて、葉っぱが陽射しに透けてレースみたいで綺麗だから。私の大学は、中心地から電車で1時間くらいの郊外にある。田舎だと言う人が多いけど、もっと田舎から来たから、これくらいがちょうどいい。遊ぶところだって、自転車で行ける範囲にカラオケが3つもあるんだから充分。それに、部活とバイトで遊ぶ時間はほとんどない私にはそもそも関係のない話だ。

ラグビー部のマネージャーになったのは、半ばノリ。ローマにあるスペイン階段を真似た広場がキャンパス内にあって、そこで友達とお弁当を食べていて、声をかけられたのがきっかけ。練習を見学にいったとき、もうすでに入部している同期のマネージャーがいた。それが、はるちゃん。はるちゃんは、女の子の目から見ても可愛かった。色が白くて、黒目がちの目は大きすぎず、ちょっと素朴な感じ。大人しそうな見た目と裏腹に、よく笑って、よく喋る。可愛いって言われるよりも、面白いって言われて喜ぶ天然な女の子。私は、すっかりはるちゃんが好きになってしまって入部を決めた。多分だけど、同じ理由で入った同期は多いんじゃないかな。

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