はるちゃんはマネージャー
みさき
第1話 社会人4年目 春
僕は、はるちゃんのことを「マネージャー」としか呼んだことがない。ラグビー部を引退して、大学も卒業して、それから4年がたった今も変わらない。自分のあだ名も「はるちゃん」だから自分を呼ぶみたいで気持ち悪い、というのが表向きの理由だけど、本当はただ恥ずかしいだけだ。男子校で3年間部活に打ち込んできた僕にとって、急に生活圏に現れたキャンパスの女の子達とどう接するかというのは難題中の難題だった。可愛い子がいたらいいなと思って入ったサークルにも馴染めず、結局、同期のなかで1番遅れてラグビー部に入部した。逆にはるちゃんは、1番最初に入部したらしく、すでにラグビー部に馴染んでいた。そして、当然「はるちゃん」という呼び名も浸透していたから、僕はそのまま「はると」と呼ばれることになった。ちなみに漢字は、悠々自適の悠に人と書く。はるちゃんは、季節の春に美しいと書いて、春美というのが本名らしいけど、演歌歌手みたいで嫌だからはるちゃんと呼んでねと笑って言った。薄めの唇から綺麗に並んだ白い歯がのぞいて、眩しかった。
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