二章◆お姫様みたい

20

あれからというもの、雄大は仕事の都合がつく限り、毎日のようにminamiへ顔を出していた。

訪れるのは大抵閉店間際だ。


売れ残っているパンを3つ買って、その日の夕食か翌日の朝食にする。

そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にかそれが当たり前の日々になっていた。


minamiに通うようになって、雄大の仕事の時間は劇的に変化した。

毎日深夜まで働いていたのを19時で切り上げ、その分朝早くから仕事をする。

ダラダラと残業はしない。

もちろん、致し方ない仕事の場合は19時を超えるが、それでも早く帰ろうという意識が芽生えた。


生活が夜型から朝型に変わったのだ。

そうすると不思議と調子がいい。

不規則に食べていた食事も、とりあえず朝はminamiのパンを食べるようになった。

これがまた体の調子がいい。

この歳になってようやく朝食の大事さを実感したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る