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お釣りを握らされては返すわけにはいかず、雄大は戸惑いながらも渋々ポケットへしまう。

そんな雄大に、琴葉は微笑みながら言った。


「それならばぜひまたいらしてください。私の焼くパンを好きになってもらえると嬉しいです。ぜひ常連さんに。」


にっこりと微笑む琴葉に、雄大は思わず


「じゃあ明日も来ます。」


と口走っていた。


琴葉は一瞬驚いた顔になったがすぐさまニコリと微笑み、


「はい、お待ちしております。ありがとうございました。」


と深々とお辞儀をした。

琴葉の心地よい声に見送られて、雄大は会社へ戻った。


買ってきたばかりのパンを噛りながら、仕事の続きをする。

いつもこの時間は副社長室にこもり、食事も取らずに黙々と仕事をしている。

だけど今日は何だか気持ちがフワフワしてしまって落ち着かず、もう帰ることにした。

こんなに早くオフィスを出るのは久しぶりだなと、雄大は思った。


月明かりがとても綺麗な夜だった。

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