第百四十回 そこはもう、冬の星座。


 ――ゆっくり舞い落ちる雪。まるでシャンデリアのように煌びやか。



 白い息が弾む。……生まれたままの姿で僕と君、その情景を窓から眺める。


 微かに曇る窓は、冬の寒さから僕らを包み込む。まるでお風呂上りの素肌を、そっとソフトなバスタオルで包み込むようなイメージ。……柔らかくてね、優しいの。



 あの日のように濃厚なキス! これできっと『ラパン』みたいサードだね。


 あの日のように、やっぱり胸がキュンキュンする。……ボクッ娘の僕なのに、限りなく乙女になっている。顔も火照る。全裸なのに温かくて、とっても気持ちいい。


 恥ずかしくて涙が溢れちゃうけど、

 それも心地いい。それはね、可奈かな、あなただから……。



 ――ゴツン!


 でっかい雪が落ちてきた? ビッグなスノードロップ。……なわけなくて、


「痛~いっ!」


 ニュッとタンコブができたような頭、さするさするって……これって夢?

 ヌッと可奈の顔。ちょっと近い近い。


「もう! 前と何ら変わってないじゃない。ええっと、プラネタリウムに着いて、椅子に座って周りが暗くなって……から、三分でいびき聞こえたよ。それに大股開いて、腕組んで……スタイルまで一緒じゃない。で、何? 色っぽい声まで出しちゃって、可奈可奈って、わたしの名前まで言っちゃって、もうもうもう! 終わるまで待ってあげられなかったわよ、前言撤回、前よりバージョンアップしちゃってるよ!」


 と、どうやらビッグなスノードロップじゃなくて、落ちたのは前と同じパターンの可奈が繰り出したハンマーパンチのようだ。でも、ほっぺたじゃないから大丈夫。


梨花りかは、ほっぺた叩かれると泣いちゃうからね」と隣の席から、千佳ちかは言った。



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