第百三回 ちょっとだけ、大人のお話……かな?


 ――土曜日。あの騒動から、もう一週間が経過しようとしていた。



 今日は学校お休み。少し前までは土日休みの週ニ休制だったけど、何でか学力アップのために、隔週となる。例えるなら円周率。少し前までは三だったなあ……と、未来みらいさんは言っていた。今はね、三・一四一五九二六五三……と、僕が言うと、


「いやいやいや、三・一四で充分だよ」


 と動揺? 少し? いや大いに、未来さんの表情に焦りの色。……ついこの間も、太陽は西から昇ると答えて……あっ、それ僕だ。もちろん笑われた。みんなに……。



 その意味も込めて今日、覚悟の白の衣装。……OPワンピースだけど。リベンジを行う。助太刀に可奈かなも参戦。瑞希みずき先生も……と言いたいところだけど、例の格ゲーに夢中。でも、未来さんの代わりにCPコンピューターが対戦相手。――心の声は「一人で遊んでくれ」だった。


 と、いうことは、


 皆して、未来さんのお家に押し掛けて……もとい、お邪魔しているのだ。



 ――今日こそ『四十八分の一スケールUGユージィ』を、

 未来さんと一緒に組む。バチバチと火花! 瑞希先生との女の対決込み。


 僕だって負けない。

 僕だって未来さんが必要だから。……きっと可奈だって、僕と同じ思い。


 そう思っているうちに、「勝手に決めないでよ」と可奈の声が聞こえる。


 ……心の声は洩れちゃったけど、背に腹には……ではなくて、大好きなバンプラには代えられない。僕には未来さんが必要だ。忘れもしない、あの始業式終了後のカッコよく決めたハイタッチ! そして交わした言葉は、


「ここからは共同戦線だ、梨花りかちゃん」「臨むところだよ、未来さん」


 ……そう、新たなコンクール。『令和初・浪速なにわバンプラコンクール』を目指して!



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