第百回 それはアニバーサリー、君も今日からは僕らの仲間だ。


 ――あの群像劇の最中、以前にもあったその台詞。


 今日お家に帰ったら『りかのじかん』も第百回を迎える。……これで、もう三日坊主は卒業だ。なんて、僕は決して三日坊主ではないと否定する。まあ、理科以外は……。



 前回(第九十九回)は描写不足でごめんね。


 ボクッ娘の僕でも、夜のドライブだったら、乙女心揺さぶられるようなロマンチックな展開になるのだけど、壁ドン込みで。……でも、瑞希みずき先生の前では禁句だって、未来みらいさんは慌てているぽく言っていた。それ以上は、……どうも気まずい様子に思えた。


 今はまだ午前の風。

 外も夏休みの延長みたいで、とても明るく暑い。


 今日は始業式オンリーだったから、学園の滞在時間は一時間くらいのものだ。

 開始は八時四十五分、終了は十時くらいだったかな? 授業は明日からなの。



 ――歩く。今は歩く。

 聖者の行進、その様なイメージだ。


 ライダースーツから脱皮を遂げた瑞希先生は、僕らの先頭を歩いている。


 黄色と青色がコラボした超薄着、とっても涼しそうで生き生きと輝きを放つ。因みにTシャツとソフトな半ズボン、……ブラウンブーツというアンバランスな組み合わせ。


 すれ違う聖なる白色の列。この人たちも、瑞希先生と同じように「先生」と呼ばれている。されど『先生』の種類が違う。思うと、先生には免許のための『試験』がある。


 もしも、そこまで極められたとすれば、


 ……僕はきっと、理科が大好きになると思う。だとすれば、可奈かなが言っていた通り、僕はただ、食わず嫌いをしていただけなのかもしれない。もしそんなことを言ったなら、可奈は「ほらね」と、僕を嘲笑うだろう。「一緒に理科のお勉強しよっ」と、口では優しいけど、ビシビシと華麗なる鞭捌きが垣間見える。……これこそ、怪談並みの恐怖だ。



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