第八十六回 走る走る! ダッシュダッシュ!
――一刻も早く! 一秒でも! そしてこの地、この場所だ。
踏みしめた場所、及び着いた場所は総合の病院。済生と名乗る病院だ。
さっき(前回の)の
とにかくレッド、スポーツカー張りに赤かった。
そして、あの時の言葉たちはこうだ。
「ミズッチ、俺が車出してやるよ。行くんだろ?」
「もちだよ、未来君」
「
「うん」
という感じで、未来さんは
だから、
だから、こうして着いたのだ。
ありがとうございます! と、溢れる思いを胸に秘め、走る! 走ろうとするけど、
「急がば回れだよ、梨花さん」
と、瑞希先生は言った。……ここは病院の中。病室は五〇三号室、四人部屋。
起きていた。
白色の風景、ベッドの上で上半身を起こしていた
僕は、僕は! 感情の赴くまま、自分でも驚くほどに、
――千佳のほっぺたを、思いっ切り叩いた。……痛いほど、引っ叩いていた。
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