第三十九回 段取りは八分、後はノリ。


 ――四年前も演劇部と軽音部(当時は『グローバルな音楽部』だけど……)が手を取り合って、さらに瑞希みずき先生の五人の友人も加わり、本番ではマリさんのママと、お祖母ちゃんまで友情&特別出演して……語り継がれる総数は、な、何と二十六人に上っていた。



 それに対して現在は十五名。


 ラグビー選手と同じ十五名。……あっ、瑞希先生が戻って来たら十五名。

 ということは現在、十四名。


 今日一日だけれど、十四名の人員で切り抜けなければならない。まずは人員配置だ。それぞれのスキルが満足に反映されるような図を描く。理想の人員配置を求める。



 それを決めるのは、演劇部の部長・早坂はやさか海斗かいとさんが、


「頼りになる兄貴的存在」と崇拝してやまない人物で、さらに加えると、

「今の僕があるのは、この人の……この人たちのおかげだ」と尊敬の念、


 と、このよう今日こんにちも変わらず大絶賛している。――四年前に伝説を創った二人、それは演劇部の原点を築き上げた中心となる者。成すべきことに対し、成功を収めるには『段取り八分』というけど、その根底には必ずや成し遂げるという強気一念。合わして未知へのトキメキにも似た勢いが、それこそが、――それこそが、勝利の要諦だ。



 ……僕の『りかのじかん』にも似た束の間の時間だが、


 広い三階、その片隅に於ける窓際で、海斗さんはスマイリーに僕と可奈かなにだけ語る。その二人が築いた伝説。――それが二〇一五年の八月二十四日のイベント。その中心となった二人こそが、海斗さんの双子のお姉さん、マリさんこと早坂海里かいりさん。で、そのマリというNNニックネームの名付け親で、海斗さんのいう『兄貴的存在』こそが、川合かわい未来みらいさんだ。


「なになに、陰口?」と、覗き込むマリさんと、

 それに便乗して「さあ、ミズッチをあっと驚かせようぜ」と、未来さんが声をかけた。



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