第二十八回 マリさんと心重ねて。


 目的は『理解の輪』

 願うは『平和』


 今日の『令和』という年号に、……その願いは託された。


 それが『ザ・脚本』


 イメージは、朝陽に燃え立つ、……その凛々しき瞳。

 そして続く、――この学園の毎年恒例のイベント『ふるさと祭り』で行われる我ら演劇部が主催の劇! ……と、いいたいところだったけど、実は、


 ……実は、四年ぶりとのこと。


 あの二〇一五年八月二十四日が、最初で最後……だったそうだ。

 ――涙溢なみだあふるる。


 僕は、悔し涙を飲む。そのことを切々と語る瑞希みずき先生の表情が、

 マリさんの表情も……それまでのこと、演劇部の歴史も知らないけど、あの日に見た感動の一ページがフラッシュバック。……そう。僕の小さな胸でも、ううん、胸打つビートが、ハートにグッと迫って、マリさんの心と、僕の心が重なった。



 それが僕の、

 二〇一五年八月二十四日に対しての、あなたへの心からの告白。……四年越しだ。


 ――僕は、星野ほしの梨花りかという一個人だけれども、

 コミュニケーションを図るため、PC画面に繰り広げられる文字を通し、目に見えない空間を高速で行き来して、繋がり、あなたの心に重なりたいから、また僕は心運ぶ。


 一緒だよ!


 同じ思いに立つ。我が先生、我が先輩。そして我が友よ。

 深きえにし……この暁のまだ先には、


 そうだっ! 同じ祖先。人類皆兄弟! 姉弟! 兄妹! 姉妹! すべての生命。


 朝陽。――大きく両手を広げて、僕は抱くように一人その場に立った。



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