第二十四回 あっ、ケアレスミス?


 ――もう前回の話になっちゃった。

 僕は『設定』でも、『W』が付くことを忘れていた。



梨花りかさん、Wは?」


 と、颯爽さっそうたる瑞希みずき先生の指摘。瑞希先生がMさんになっても、僕のエッセイのコメント欄には誤字と脱字、たまに文法上の指摘もある。カクヨムでも、僕の先生だ。


 そこで是非とも伝えたい心の声は、


 ――いつか、あなたの自主企画に参加したい。ということだ。


 そんな溢れる想いの中に於いても、僕は『W』についての意味を模索する。もっともっと瑞希先生に褒められたい。そう思う中でも、目が合う。可奈かなが、じっと僕を見ている。


 ……呟き?


「……ビクトリー繋がる」と、そう聞こえた。紛れもなく可奈の声だ。


 そうだ! あの海里マリンという喫茶店で、あの場所で、マリさんも同じことを呟いていた。


「うん、Vは繋がる! Vが繋がったらペアービクトリーだね、可奈」


「梨花!」


 と、Wは僕たちの……未来さんとマリさんの四人の象徴だ。あの喫茶店で起きた出来事には、未来みらいさんとマリさんが共同作業で創り上げた脚本を、僕たちが『ザ・脚本』として新たなる物語として後世に伝える役割を担った、そんな後継の儀式なのだ。


 包み込むような、白き天使のスマイルで、


「梨花ちゃん、可奈ちゃん、わたしたちも同じ思いだからね」

 と寄り添って、マリさんはエールを送ってくれた。それに連動して「またいつでもおいで」と未来さんも、ドキッとするほどカッコよく、僕たちに声をかけてくれたのだ。


「うんうん」

 と、シリアスだった瑞希先生にも、いつものような笑みが浮かんだ。


 さらにはこの薄暗い部屋にも、パッと並程のウインドウから光が差し込んできた。



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