第十六回 前回に引き続き、今回は現実。


 ――夢から覚めたら、またプラネタリウムのお星様。キラキラと綺麗だった。



 心ときめく乙女のように、ロマンチックに浸りたいところだけど、それが済むと余韻に浸る間もなく「ほら、次行くよ」と、可奈かなちゃんに手を引っ張られ、……引っ張られるがまま、次って何処よ? と思いながらも、何も言えないままの僕だ。



 今回をもって僕のエッセイ、

『りかのじかん』は第十六回を迎える。お家に帰ってPCに向かうのならば、それは実現する。ノンフィクションが基本だけど、夢オチはアリだと思う。そう思いながらも、このプラネタリウムの夢ネタは、もう大いに活用させてもらった。されどMさんへ告っちゃったことについては、完璧なまでに、オブラートに包み込んだ。


 でないと可奈ちゃん、


 あっ、ここではKさんか。『イニシャルKさん』……このPNペンネームからして、かなりMさんのことを意識している。それに……それにね、告っちゃった時の肘鉄。女の子同士だからわかるけど、僕と同じような嫉妬を持ち合わしている。


 つまり、


 つまりねえ、ライバルってとこかな? こういう時、男の子同士の方が爽やかでカッコよくて羨ましいと思う。……女の子同士だと嫉妬ばっかりでネチネチして……それが発展すると、ママたちが見そうな昼ドラになりそうで、……何だかヤダ。


 まあ、それくらいに、


 ――どちらも、Mさん瑞希先生のことが大好き! なんだね。


 足止める。

 ちょっと溢れてくる。……思いも涙も。


「どうしたの?」と、可奈ちゃんが訊く。


「僕たちお友達でもあり、ライバルでもあるんだね」と、僕は心の言葉を声にした。



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