第十二回 十二星座と掛けてプラネタリウムと解く。


 ――その心は、僕の感性を磨くために、可奈かなちゃんが連れて行ってくれた。



 なら『僕のために……』と、思えるのだが、


 まあ、そんなわけもなくて、またまた前回に引き続き「あなたには脚本がんばってもらわないと。わたしが困るの」……だった。お友達になって三か月になるが、確かに、何の利益もなく、こんなにも親切にする子には思えない。理科のお勉強だってそうだが、シークレットで何らかのご褒美がもらえるとしか思えない。そんなのって、そんなのって、



 可奈ちゃんばっか、ずる~い。

 僕だって、瑞希みずき先生にめられたいよ。


 だからこそのプラネタリウム。……可奈ちゃんと一緒に行ってやる。本当は星を見るよりも、プラモデル作りの方がずっとずっと興味がある。でもでもでも、



 プラネタリウムで星をしっかり見て、


 まずは感性あふれるエッセイに仕上げたい。瑞希先生……いやいや、イニシャルMさんに、応援コメントでいっぱいいっぱい褒めてもらうの。


 それを夢見ながら、

 ……脳の辺りがしびれてくる。星を見るのだから暗い室内。淡々とした女の人のナレーション。ちゃんと聞かなきゃいけないけど、隣の席に可奈ちゃんがいるけど、


 ――飛んだ。


 決定的な何かが。ナレーションも飛ぶ中、別の世界へと駆け巡る。そこは、

 そこには、どこかが違う部屋。芸術棟の三階にも見えなくはない。或いは、


 もどき? ザ・脚本のヒントがあるのかも?


 登場人物は『量産型のMさん』……いずれも擬きだ。次回が十三なので、それに因んで曜日は金曜日。『Jソンの軍団』……と、そう命名だ。ヒントは多分、夢の中だ。



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