第8話 王都の地を踏む
王都の大きな壁が見えてきたので、地面に降りる。ゲームでは、ステータスを隠すのが常識だ。『飛行』スキルなど目立ってしょうがない。私はあまり目立つのが好きじゃないしね。
王都まで約五キロほどある道を歩く。カタコトカタコト、と音がしたので後ろを向くと、馬車が走っていた。なかなかの豪華さなので、貴族かなんかなのか、プレイヤーなのか。どちらにしろ、高そうな馬車なので、金持ちなのだろう。
馬車がすれ違うとき、馬車の窓から女の子の顔が覗いていた。金髪のツインテール。私と同年代くらいに見えた。なぜ私を見ていたのか疑問に思ったが、面倒なことが起こらなくて良かった。
歩いて数十分。目の前には、大きな壁に大きな扉がある。扉は開いているため、中が見えた。
お金は払わなくていいようなので、すんなりと入れた。
入ればそこは、異空間だった。日本と違い、外国の雰囲気なので、不思議な感じだ。
祭りがあるかのような賑やかさ。車も電車も通っていなく、ビルだってないにも拘わらず、日本よりも文明が進んでいるように感じる。やはり、人口の多さなのか。
リューグー王国は、五つある国のひとつだ。各国の王都には、地下迷宮区という謂わばダンジョンがある。
地下迷宮区は百層あり、一層一層、ボスを倒さなければ次の層へは行けない。プレイヤーは、この迷宮区を攻略するのが主にメインだ。クリアした層は、地上にある転移門によりとばすことができる。
すぐさま迷宮区に行くのも味気ないので、王都をぶらぶらしよう。
メインウェポンは
早速、マップで武器屋を探す。んー、いろいろあるけど、やっぱりマップに載っていない武器屋を探したほうがいいな。マップは万能ではないらしく、隠れたお店があるのだ。
と、まず先に宿を探さなくてはならない。安全区域である街中──イベントなどでモンスターが来ることもあるが──でログアウトできるが、宿でログアウトすると、HPやMPが回復、異常状態が治るらしい。フィールドでもログアウトできるが、セーフティゾーンでログアウトしなければ、モンスターにやられる。また、街中ではPKはできないが、フィールドでは、セーフティゾーンでもPKは可能なため、極力避けた方がいい。
とりあえず、目に留まったいい感じの宿に入る。
カウンターには、私より年下に見える少女がいた。
「いらっしゃいませ」
「えっと、一部屋空いていますか」
「はい、空いてますよ。一階と二階、どちらがいいですか?」
「二階で」
「何泊されるご予定でしょうか」
「んーど、とりあえず、今日いれて3日で」
「わかりました。千エソになります」
千エソ? 安い、のかな? 後でヘルプを見てみよう。
どうやら、お金のやり取りは、現物でやるようなので、ストレージからお金を出す。
お金は、一エソ硬貨、五エソ硬貨、十エソ硬貨、百エソ硬貨、千エソ硬貨、一万エソ硬貨、十万エソ硬貨の七つあるらしい。
百エソ硬貨五枚を払い終わると、木の札を渡された。そこには数字が書いてあり、その番号が私が泊まる部屋なのだそうだ。
案内しようか、と言われたけど、それを断り、部屋に向かった。
部屋は案外広くて、いい感じだ。ベッドに小さなクローゼット、机がある。どれもしっかりと作られているので、よほどのことがない限り壊れはしないだろう。
部屋にいてもなにもすることがないし、そろそろ昼時なので、昼食をとることにする。朝食は初心者ボーナスとして、ストレージに携帯食が入っていたからそれを食べたから、まともなのを食べたい。
この宿には、食堂があったのでそこで頂くとしよう。
食堂に来ると、客が二人しかいなかった。
内装は綺麗だし、匂いからして、料理は不味くないだろうに。
カウンター席に座ると、厨房から女の人が出てきた。若い女性だ。手には、水の入ったコップを持っている。
「いらっしゃい。はい、お水」
水を置いた彼女に注文ではなく、疑問に思ったことを聞く。
「すみません。この宿って、金額が高いんでしょうか、それとも低いんでしょうか」
「あんた、わからないで泊まったのかい? というか、宿賃の基準もわからないのかい」
「えっと、私、プレイヤーでして」
「ああ、異邦人の方なのかい」
「ええ、今日はじめてこちらに来たのでわからないのです。チュートリアルもなかったし」
「チュートリアルっつうと、説明みたいなもんだっけか」
「はい、そうです。種族的にないらしいんですが」
「種族か。まあ、わかった。飯食べたら、私の部屋で話さないか?」
「は、はい。じゃあ、この肉野菜炒めとライス、あと・・・・・・牛乳! 牛乳をください」
「あいよ、ちょっと待ってな」
そう言って、女性は厨房に入っていきました。
で、この宿って高いの? 低いの?
後で話すからいいか。
十分ほどで料理が来たので、それを食べ終える。
なかなか美味しかった。そして、牛乳も。
金額は合計で七百エソ。日本ではこのくらいかな?全然外食なんてしなかったから、わからないし、行くときなんか、高級レストランだったから、よくわからない。
ははは、私、わからないことだらけだ。
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