第13話 警官による聞き取り調査(一)
30分程して、二人の警察官が看護婦の案内で病室に入って来た。
私の病室は、一階廊下突き当たり右側の個室であった。
看護婦の案内で2人の大柄な警官が病室に入って来た。
まず年配の警官が
「私は兵庫県警・小野署の捜査一課の『山脇警部』です」
連れも同じく
「次席の『柳田』です」
と教育隊長に名刺を渡し挨拶した。
彼らは、隣の病室の患者の有無を確認後、廊下に自衛官に見張りをさせ調書作成の為、私に仔細を求めてきた。
私は昨夜以来の奇怪な出来事を事細かく話すと、黙って聞いていた若い警官が突然大きな声で、
「何!井戸の中で髑髏と会話をした!?そんなバカな事があるのか!こんな話聞いた事がない!いい加減な事を言うな」
と想定した反応を示した。
「まあまあ」
と間に入って制する年配の山脇警部を振り切り
「長時間冷たい水に浸っていたので頭がおかしくなったのと違うか、バカバカしい!隊長さん!この男、まともな男ですか?この話を信じますか?自分に都合が悪いので、まさか出鱈目を言って誤魔化しているのと違うか!とても信じられない!警察は他に難事件を抱えている!こんな話に付きっていられない!いい加減にしろ」
最後は警官独特の喋り方で相手を無視し、ここが取り調べ室のつもりで大声で怒鳴っていた。
これを聞いた隊長は
「柳田さん、鬼頭候補は日頃真面目な自衛官で昨夜の訓練出発まで異常はなく、私も信頼していた部下です。しかし今の話はおまえらしくもない、誠か?正直本官も驚いている!何か物的証拠があるのか?」
「隊長!警官があのように、怒鳴るのも承知済みです。髑髏としゃべった事など誰もが疑うのが当然でしょう?しかし全く作り話や嘘は云っておりません、全て体験した本当の話です」
「おまえがそこ迄云うのなら?何か動かぬ証拠があるのか?」
隊長が念を押す。
「証拠なら有ります、偽装網の片方を、人骨を使って支えています」
「何!人骨?それは誠か、川端二曹!すぐ調べる様、現地に連絡せよ」
隊長は部下に命令した。
この会話を聞くと、先ほどの若い警官が、又大きな声で
「何!遺体?素人のお前が、何んでそれが人骨と分かるのだ?いい加減にしろ!現場の指示は寸度待って下さい、出鱈目な情報と思うが、本署の警官が現地で待機しているので此から指示を出します。ところで部隊の無線機を使わせて下さい」
「わかった!使用許可を認める。川端二曹案内するように」
「川端二曹了解!無線機は表のジープです。どうぞ」
川端二曹が柳田を外に案内した。
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