第11話 まさかのお泊まりです。1

あぁ~疲れたぁぁ~……


光が久しぶりに負けず嫌いを発動させたドッジボールを終え、夕御飯を食べてお風呂に入って。宿題も一応終わらせて、自分の部屋の

ベッドにダイブする。


制服は砂まみれになっていたので、明日は替えの制服を着ていくことにしよう。


お互いのお母さんに遅すぎるとめっちゃ怒られたのだが、幼い頃に戻ったみたいで、実は楽しかった。


園田家は、お父さん、お母さん、そして一人娘の私という構成。

お父さんは出張が多く、家に居ることはほとんどない。でも、お土産や美味しいものを沢山買ってきてくれるし、出来るだけ家に帰ってこようとしてくれる。

家に居る時間は少ないけれど、私にちゃんと父の愛を与えてくれる。


光の家は、お父さん、お母さん、光と、大学生のお兄ちゃんいう構成。

光のお父さんも出張が多く、あんま家に居ないんだよなと、光がぼやいていたのを聞いたことがある。

光のお母さんは専業主婦で、いつも家に居る。小さい頃は私の面倒も見てくれていたので、私はもう中澤家の子供も同然。らしい。

そして、光のお兄ちゃん。光のお兄ちゃんは今は大学生で、一人暮らしをしているんだとか。昔は私もよく遊んでもらっていた。


昔っから家族ぐるみの付き合いで、私のお母さんと光のお母さんはものすごく仲が良い。

二人で出掛けていることも多々。


あれやこれや考えていたら、もう十一時だ。私の体質だと、明日起きられなくなってしまう。学校に間に合わなくなってしまう。なのでもう寝る。


ちゃんと電気を消して、布団を掛けると、すぐに微睡みへと誘われる。


「照~、まだ起きてる~?」


寝る寸前に、お母さんのひそひそ声で意識を引き戻された。眠たい。


「何……?」


「こんな夜中にごめんね。あのね、さっき言い忘れてたんだけど。お母さんと凛ちゃん、明日から二人で二日間旅行に行ってくるから。その間、光くんと二人で一緒にお留守番していてくれる?」


凛ちゃんというのは、光のお母さんの名前。仲が良いので、お互いちゃん付けで呼んでいるのだ。


「うん。別にいいよ……」


「ありがと、ごめんね~、言おう言おうと思ってたんだけど」


「わかった……おやすみ……」


「うん、おやすみ、照」


そしてお母さんが音をたてないようにドアをゆっくりと閉める。


そっか……明日から光と一緒にお留守番……



え?



一緒に……?


「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」


「照!?どうしたの!?」


階段をドタドタと駆け上がってくる音。

ドアをバタンと開けて、お母さんが部屋に入ってくる。

どうしたもこうしたも、原因はあなたなんでですけど……



「ま、待ってお母さん?光と私、一緒にお留守番するの?」


「うん。あら?何か問題があるの?昔っからまだ遊びたいー!とか言ってお互いの家にお泊まりもしてたじゃないの」


「いや、してたよ!?」


でも、もう私たち、中二だよ?

そこについて何も感じない訳?


「とりあえず、光君がうちに来ることになってるから。リビングもお掃除しておいたから、安心してね」


うん。そこの心配はしてない。

そこ以外に心配するとこ無いわけ?

昔っから一緒にいるから、色々麻痺しちゃったんだね。多分。


「それじゃあ、おやすみ」


「うん、おやすみ……」


色々考えても、無駄。無駄。もう寝よ。



目を閉じて、できるだけ何も考えないようにしながら、再度ベッドに潜り込んだ。

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