第7話 女子力向上部 恋バナ2

中学に進学してからは、慣れない環境で自分たちの事に忙しく、皆私たちの噂もしなくなった。

光とはまたクラスが離れてしまったのだけど、私は部活を設立したり、先生と勝負したり張り合ったりして、莉央やクラスの皆と仲良くやっていた。


光と私は、少しずつ前みたいに戻っていった。でもお互いベタベタなんてしないし、

ずっと一緒に居ることもないように気を付けた。

また噂されるのは居心地が悪いしね。



そして、二年に進級した。


新しいクラスが発表されて、莉央と一緒に新しいクラスへ移動した。


先生に誘導され、席に着いて緊張しながら考える。

誰と一緒になるんだろう。光はいるかな……


「よ、照葉。今年は一緒か」


……光の声だ!


「光!」


やったー!と振り返ると、思ったより顔が近くて──

光の嬉しそうな笑顔に、不覚にも、ドキッとしてしまったのだ。


「──ッ!?」


「全員揃ったかー?担任の先生が来るまで教室で待ってて下さい」


誘導の先生が担任の先生を探しに教室を出ていく。


一方私は、少し震えながら、熱くなった頬を冷やしていた。


どうしちゃったんだろう……緊張でおかしくなったかな。


光は斜め後ろの席。今年も同じクラスになった莉央は名字が織田なので、席は離れている。

光は既に通路を挟んだ隣の席の男子と話し始めていた。


赤くなっているであろうほっぺたを手で覆い、回らない頭で色々かんがえながら、じっと机を見つめていた。


「顔赤いけど、大丈夫?」


「ひゃいっ!?」


びっくりして顔を上げると、一人の女子が私の顔を覗き込みながら心配そうに声をかけてきた。

緊張のせいか、変な声が出てしまった。


「えっと、大丈夫、だよ……」


へへ、と笑いながら答える。


「そう?顔赤いから、気分悪くなったら言ってね?」


面倒見の良さそうな子だな。

彼女の容姿は、黒髪をポニーテールにしていて、モデルみたいに背が高い。

身長の低い私からしたらとても羨ましい。


「うん、ありがとう。あ、私、園田照葉って言うんだ。よろしく!」


「私は篠崎彩乃。よろしくね」


彩乃ちゃんは、私に爽やかな笑顔を見せてくれた。


そのまま二人で、担任は誰がいいとか、何組だったとか、知っている子が何人いるとか。

そんな話をしていた。

結構話は弾み、気が合う子がいて良かった、とホッとした。




まあ、こんな感じだ。

その後も、光との関係は変わっていない。

ドキドキすることもない。

ぎゃーぎゃー言い合ってることの方が多いし、別に関係を変えたいなんて思わないし……今のままが一番良い。

あれ…なんか……言い訳ぽくなってない?


「ほー、照葉さん、そこで中澤君にドキドキしちゃったんですね?」


「ですね?」


「あー、うん、まー……そうなのかな?」


曖昧にして誤魔化す。


「あの時の照葉の顔は真っ赤だったなー」


「も、彩ちゃん!」


ダメだ。これ以上奴らと話していてはいけない……

ちょうど下校の放送が流れ、私はどうにか助かった。


「さ、帰ろ帰ろ!」


三人で旧家庭科室の鍵を閉め、職員室に鍵を返しに行く。


昇降口に出たところで、光たちサッカー部が運動場から部室へ戻る姿を発見した。

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