第6話 女子力向上部 恋バナ1

「私は特に予定はないかな」


「私も」


二人とも予定はないみたい。


「じゃあ早速今週末にでも作りますか!」


それから、3人であーだこーだいいながら、

それがいいそうしようと色々な事を決めていった。


結局、今週の土曜日に、私の家に集合。

材料はできるだけ自分たちの家から持ってくる。

足りないものは集合してからスーパーに

買いにいくことにした。


時計を見ると、下校時刻まであと30分に

なっていた。

私たちの学校では、原則、用事がない限りは下校時刻まで部活をすることになっている。


「……何する?」


「……恋バナ?」


「私は好きな人いないから。聞く専で~」


彩ちゃんが早くも好きな人いない宣言。


「うーん、やっぱ照ちゃんが気になるなぁ」


莉央が追い打ちをかける。


「恋バナじゃなくてもいいじゃない。他の話をしましょうよ」


「えー、女子力向上だよ?恋バナでしょ」


「いや女子力向上と恋バナは関係ないでしょ……」


「あー、でも恋すると乙女は綺麗になるって言うよね。すなわち女子力が上がる、と…」


「彩ちゃんまで!」


ジリジリと追い詰めてくる二人。

追い詰められる私。


「じゃあ、中澤君を男子として意識しだしたのはいつからですか~?」


しゃーない。ノってやるか。


「えー、いつからでしょうね~。小6くらいからでしょうか。皆が私たちの事を噂し始めた時からですね」


小6の頃。

皆が付き合うとか付き合わないとか、

告白するとかしないとか。そういう話に敏感になり始めた時期だった。

私と光は幼馴染みで仲が良く、よく一緒に帰ったりもしていたので、噂話の餌食えじきとなってしまったのだ。

勿論私たちは全否定。

幼馴染みだし、家も近いし。

そんな環境であれば、相手のことが嫌いでない限り、一緒に居てもおかしくないと思う。


「光とはただの幼馴染みだよ!」


何度こう言ったことか。


光のことは嫌いじゃない。どちらかというと好きだ。

でも、これが恋愛感情かと言われればなんか

違う気がした。

別にこの気持ちを今はっきりさせなければいけないわけではないし、周りに流されてしまうのも、何か癪だった。

私たちがいつまで経っても否定しているので、周りもだんだん面白くなくなってきたらしく、違うのかー、って感じで噂は収まっていった。


しかし。

「中澤君に振られた……」

光と同じクラスだった、かわいい系の女子が

光に振られてしまい、

「やっぱり中澤は園田が好きなんだろ!」

と、噂が再興。

一度目の噂から、私たちは少し距離をとっていた。

一緒に帰るのもたまたま会った時だけ。

私と光はクラスが違ったので、特に話もしなくなった。


寂しいなぁ。


また当たり前に話せる日はやって来るのかな。


距離をとってからは、光をただ目で追うことが多くなり、あー、光も男子なんだな。と思うことも増えた。


そこら辺からだ。光を男子として意識し出したのは。

と言っても、別に何かが変わったわけでもなく小学校最後の一年が終わり、私たちは中学に進学した。

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