第3話 お昼休み

いつもの如く遅刻ギリギリに着き、クラスの皆に笑われたことはさておき、今は昼休み。

待ちに待った昼ごはんタイムだ。



私は自分のロッカーから早々とお弁当を取り出し、席に着く。がっつく。


「あー、おいしい~。やっぱ空腹は最高のスパイスだわ。うん……」



今日のお弁当の中身は、定番の唐揚げ、卵焼き、プチトマト。鮭と梅のおにぎりに、ウインナーとアスパラガスの串刺し…


これらは全部お母さんの手作りである。

朝から唐揚げを揚げてくれるお母さんには、本当に感謝しかない。


そんなことを思いながら卵焼きを頬張る。

あたたかいご飯ももちろん好きだけど、やっぱりお弁当にはお弁当の良さがあるわね。



「照ちゃん、ほんとおいしそうに食べるよね」


「授業中、照葉ずっとお腹鳴らしてたしね……」



一緒にお弁当を食べにきた女子二人。二人は私の大切な友達。



私のことを「照ちゃん」と呼んでくる右側の席に座った彼女は、織田莉央おりたりお

柔らかい雰囲気を持った可愛らしい女子なのだが、「織田莉央~逆から読んでも、おりたりお~」という禁句を発してしまうと、ノックアウトされる。

莉央とは中一の頃から仲が良いけれど、今まで葬られてきた男子は数えきれない……




そしてもう一人はサッパリ系女子、篠崎彩乃しのざきあやの

私は「彩ちゃん」と呼んでいる。

黒髪をポニーテールにしていて、長身で美女な彩ちゃんは男女共に人気がある。

でも、自分の恋愛にはあまり興味がないみたいで、彼氏は作らない、といつも言っている。彩ちゃん、モテるのになぁ。

まぁ、かく言う私も彼氏は作ったことがないんだけど。



「あれ、今日は中澤君いないの?いつもはなんとなく近くにいるのに」


彩ちゃんがキョロキョロして光を捜す。

光はいつも男友達と一緒に、私たちの近くでお弁当を食べてなんとなく絡んだりするんだけど、今日はどっかに行ってるみたいだ。


「今日は他のクラスで食べてるんじゃないの」


私は普通に答えたつもりだったのだが、莉央はニヤニヤ、ニヤニヤする。


「何よ、莉央」


「いやぁ、照ちゃんがちょっと拗ねてるなぁ、と。」


「別に拗ねてないわよ。そんなことないわよ、別に…」


私は左手に持っていた鮭おにぎりをむしゃむしゃしながら答える。

まぁ、ちょっと寂しい気もするけどね。



でもこれを言ったら莉央と彩ちゃんにイジられそうなので、言わないでおこう…



お弁当を食べ終えた後は、適当に談笑をして昼休みを終えたのだった。

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