攻撃力に全振りした男と防御力に全振りした女の旅

うえイらさん

第1話 攻撃力に全振りした男

「ひぃ、ゆ、許してください。僕らが悪かったんです」

「それでそっちから攻撃仕掛けといて謝るだけだと?」

「持ち物全部置いていきます。あ、用事思い出したので僕らもう行かなくてはならないです。じゃあそういうことで」

 そう言って逃げるように去っていった。彼らは盗賊で俺から持ち物を盗もうとしたのだ。

 まったく、奇襲には弱いからもう少しでやられる所だったな。スナイパーから打たれたら危うかった。

 攻撃力は九九九八まで全振りしたから防御力とHPは一だけしかないのだ。それに仲間からは最初の方は好印象だったがだんだん守るのが疲れただの仲間が身代わりでやられたりして気付けば追い出されてた。

 いい仲間は居ないのか……

 ついでに言うと、先程の盗賊の荷物には何も入っていなかった。悲しみと怒りが多少入り交じるが、前に進むしかない。

 前方に街が見えてきた。だが、街の様子は変だ。

 活気がなく街が壊れていて、それに何やら話し声や爆発音、それに女の悲鳴のような声が聞こえる。

 すぐに向かうと何が起こっていたのかすぐにわかった。

 数十分前に見た顔があった。盗賊の奴らだ。そいつらは街を荒らし、一人の女に砲撃を繰り返している。


「街を荒らされてどんな気分だ?おい早くくたばれよさっさと。どれだけ時間を食わせるんだよ。俺ら泥水盗賊団の名に泥を塗りたくねえんだよ。気絶した方がやりやすいんだよ。をな」


「もう名前に泥が入ってるじゃないの。っていいからもうやめて。私は防御力に全振りして防御力九九九八もあるんだからそんな攻撃効かないわ。誰かー助けて、右足が全く動かないの」


「そんな余裕があるのも今のうちだぞ。特殊な能力アビリティを持ったボスがいるんだぜ。もう時期着く頃だ。」


「なんだって!?そ、そんなもの効かないわ。私は、その……能力アビリティを跳ね返す力を持ってるからそんな攻撃聞かないわ」


「嘘つけ。さっき俺の右足を動けなくする力が効いたじゃないか。お、そんなことしてるうちにボスが到着したぞ。ボス〜この人です」


「お?どれどれ?う〜ん。なかなかに可愛い子だな。俺は好みだぜ。だが防御が硬いそうじゃないか。でも俺の能力アビリティでどんなことでも出来るんだぜ。あんなことやこんなことまでできるんだよ。いやー生まれつきの才能って怖いねぇ。では、それじゃあ……」




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攻撃力に全振りした男と防御力に全振りした女の旅 うえイらさん @ueirasan4810

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