告白
先輩が、僕を見上げた。僕の方が少しだけ背が高いから、上目遣いで見られていることになる。
「ね・・・お願い、教えて?」
「あ、う・・・」
その状態でジーッと見つめられるから、僕は恥ずかしくてキョロキョロと視線をさ迷わせる。
だって、言えるはずがないじゃないか。好きな人は、先輩です――なんて、本人に向かって。
「教えて・・・」
そもそもなんで、先輩が僕の好きな人がそんなに気になるのかが分からない。だからしばらくは耐えていたのだけれど、先輩のうるうるした目に見つめられ、僕はものの見事に陥落した。
「分かりました、言いますよ・・・」
「う、うん」
先輩が緊張した面持ちで僕を見る。まだ気の迷いがあったけれど、勢いで言い切ることにする。
「僕の好きな人は、先輩です」
「――え」
「先輩のことが、好きなんですよ。ずっと前から」
「え、え、嘘?」
「嘘じゃないです。それよりも、告白したんだから返事下さい」
「ちょっと待って、今すぐは無理・・・」
言った。言ってしまった。告白した瞬間、先輩は顔を真っ赤に染めて後ろを向いてしまった。肩に手をかけると、びくっと反応する。
しばらくすると、僕の方を振り返った。その顔は耳まで真っ赤だけれど、真っ直ぐな瞳で僕を見ていた。
たっぷり10秒は黙ったあと、口を開く。
「私は、君のこと――」
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