第3話もう1人の僕。

ある日、私に手紙が届いた。

かわいい花柄の封筒に入っていて、送り先の住所は不明で、差出人の名前は、「僕」とかかれている。


私はその封筒を見た時、なぜか分からないが懐かしい気持ちになった。

手紙を開いてみるとそこには、僕という人物の過去の話が書かれていた。


この僕という人物に私は心当たりがあった。

しかし、何年も会っていなかった彼から突然手紙が来た事に驚いた。


と、言っても私がこの「僕」という人物に会ったのはたったの3回。

それも、最後に話をしたのは15年も前のことだ。


会ったと言っても、姿を見たわけではない。私と「僕」という人物はどうも同じ同一人物のようなのだ。

私が10歳を迎えた秋。

「僕」は初めて私の前に現れた。

当時部屋に飾っていたカエルの人形が突然話しかけて来たのだ。

カエルは私に言った。

「君と僕は同じ。」

「今君が見てるのは君の中にいる僕が映し出している幻覚だよ。」

「どうしても君とおしゃべりがしたかったんだ。」


突然のことにびっくりした私はカエルの人形をおもちゃ箱に閉まった。


その後しばらくして、おもちゃ箱をのぞいたが、カエルの人形は喋らなかった。

これが、「僕」に初めて会った日の事だ。


そして、その日から12歳の冬まで私には全ての記憶がない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る