第2話
高校も3年生となったが、茉莎子は学校もそこそこに、渋谷のメガネ屋の次男坊と、伊豆だ箱根だと
遊び呆けていた。
周囲は、このまま卒業後は結婚してくれればと考えていたに違いない。
だが、そのメガネ屋の次男坊は、趣味でもあったオートバイで大事故に遭ってしまい、しばらくは歩くこともままならず、生涯、片足を引き摺る身体になってしまったのだ。
茉莎子は多少なりともショックは受けたのかもしれないが、周囲の思惑をよそに次男坊との結婚なんてこれっぽっちも考えてもいなかったため、他の男友達と相変わらずな放蕩っぷりであった。
その頃茉莎子の家では、母のパチンコ通いと
茉莎子の放蕩に皆頭を抱えていた。
パチンコに負けると母親は気がふれたように、従業員やお手伝いにまで暴言を吐き、家族はもううんざりしていたのである。
このままでは家業もままならないと考えた父親は
なんだかわからない理由をつけて母親を病院に入院させたのだ。
そうなると、残る頭痛の種は茉莎子である。
メガネ屋の次男坊との結婚も絶望的であるため
なんとか大人しくさせる方法はないものか。
考えあぐねた父親は、日舞を習わせることにした。
茉莎子達姉妹は幼少期には皆日舞を習わせていたため、今更な気がしないでもないが、これしか思いつかなかったのである。
茉莎子はこの父親の言い付けに従うしかなかった。
日舞の稽古に行かないなら、家からはびた一文金を出さないと言われたからなのだ。
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