茉莎子という女

茉莉花

第1話

昭和の初期。

都心の自営業の裕福な家庭の末娘として

産まれた茉莎子。

兄が3人姉が2人。


兄達は、全員が同じ大学を卒業している。

長男は大手機械メーカーに就職。

次男が家業を継ぐので三男は教師になった。


長女は商業高校から商社の経理へ。

次女はやはり教職へ進んだ。


茉莎子は、私立のそこそこ有名な学校の生徒であった。


当時は景気もよく、家には住み込みの若衆やお手伝いさんも居た。


末娘であり、長男とは一回りも歳が離れていたためもあり、我儘で好き放題な振る舞いをしていた。


茉莎子の母は自営を手伝うことも無く、かといって家事をするでもなく、くわえ煙草でパチンコ屋に入り浸っている。

学校帰りの道で母のそんな姿を見掛けることも多かった。


自分も学校を卒業したら

あの母のようになるのかしら

と、漠然と考えていたが、その彼女も似たようなモノではあった。


家のお金をくすねては銀座だ渋谷だと、遊び呆けていた茉莎子には、就職するとか結婚するとかのビジョンは一切なかったに違いない。。。



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