1編

「胡桃ちゃんー!おはよう!」

「胡桃、今日も相変わらず

暗い顔してるわね。」

「…おはよう。」

三者三様の声が聞こえてきた。

(この声はいつもの…。)


胡桃が振り向くと、

元気に挨拶してきた

一個下の美春と毎朝毒舌で

挨拶してくる麗華、

朝は不機嫌で口数少ないのが雷太だ。

「皆おはよう〜」

胡桃は3人に挨拶した。


私、今川胡桃とこの3人は

いわゆる幼なじみだ。

私は10年前に美容室を開業するために

この街に引っ越してきた両親に付いてきた。

その時、近所に住んでいたのが電気屋の

息子である過田雷太、その妹の美春、

丘の上のデカい屋敷に住んでいる

お嬢様の来葉麗華と出会った。


性格は4人とも全く違い、しっかり者と

他の人によく言われる私と

クールな雷太、明るい美春、

毒舌の麗華だったが、不思議と気が合い、

意気投合して10年経った私達は

高校2年生になっていた。

平穏な街で平穏な暮らしがいつまでも

続くと信じて疑わなかった。

…そう、今日までは。


「きゃー!助けて!」

甲高い女性の悲鳴が

近くから聞こえてきた。

(一体何事?)

そう思い、振り向くと

信じられない光景が広がっていた。

「何あれ…」

「ウチらまだ夢見てないよね?」

「冗談だろ…」

美春、麗華、雷太が

口を揃えて言うのも無理はない。

何故なら女性の近くには

見たことも無い異様な生物が立っていた。


(嘘でしょ…めっちゃ怖い。)

私は全身が身の毛も

よだつほど震えた。

(でも…でもあの人を

助けなきゃ死んでしまう!)

そう決意し、3人に大声で叫んだ。

「あの人を助けよう!」

私がそう言うと、

3人とも意見が一致したようで、

女性の元に走っていく。


「大丈夫ですか!」

女性の元に全員が

駆けつけた…その時、「危ない!」

女性が叫んだ。

振り返ると敵の攻撃が

目の前に迫っていた。

(あぁ、私死ぬのか…)

そう思った。しかし…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る