第2話
それよりも俺は、逝かせて、の文字にショックを受けた。
やはりここで誰かが死んでいるのだと。
その見知らぬ死者へあてた手紙を、俺は勝手に読んでしまったのだ。
強い嫌悪感にかられながら俺は手紙を封筒にいれ、そっと花と花の間に入れた。
そして車に乗り込み、発進させた。
――やっぱりあんなものを、むやみに見るもんじゃないな。
そう考えながら運転していた俺は、ふと気付いた。
なんと助手席に、さっき花束に戻したはずの淡いピンクの封筒があることに。
――えっ?
俺は急ブレーキをかけた。
そして恐る恐る封筒を手に取り、中を見た。
中の手紙には「美咲、一人で逝かせてしまってごめんね」の文字。
「ひいっ!」
俺はおもわず封筒と手紙を窓から投げ捨て、車を急発進させた。
しかし少し走ったところで、また気付いてしまった。
さっき投げ捨てたはずの淡いピンクの封筒が、再び助手席にあることに。
終
死者への伝言 ツヨシ @kunkunkonkon
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