運命のアカイイト〜ロリ神様拾いました〜

ましろゆーき

第1話 運命の赤い糸

クラスの誰かが話していた。

人には運命の赤い糸があると。

しかし、僕は現実主義だから幽霊や怪奇現象など信じない。もちろん前述した赤い糸なんて存在すると思ってない。

僕の名前は伊勢原那弥いせはら ともやです。

那弥これで『ともや』だから…読めないし、名前だけ女の子だとよく言われてる。

仲のいい友達には『ナヤくん』と呼ばれてます。


今日はゴールデンウィーク初日。

同じ趣味ということで意気投合した桜木七海さくらぎ ななみと日帰り旅行を考えていたのだが…

『ごめん(;_;) 風邪ひいたわ…』

僕は朝スマホの通知を見て固まっていた。

しかも、マスクしておデコに冷却するシートを貼った自撮り写真を送ってきた。

そこまで疑わないし写真要らんわ。

昨日元気だったのに突然風邪をひくなんて…不思議だ。

とりあえず出かける予定だったので準備をしていると俺の部屋のドアが開く。

「ナヤヤー遊びに来てやったぞー。あれ?出かける感じですか??」

俺の部屋に入ってきたのは半年前ぐらいに隣に引っ越してきた、藤沢茉梨奈ふじさわ まりなだ。

茶色がかった寝癖付きロングヘアーをいじりながら俺のベットに座り込む。

勝手に伊勢原家と藤沢家をつなぐ板を持ってきてそれを渡ってきている。

危ないからやめろと言っているが「大丈夫。落ちたらナヤヤが助けに来てくれる」などわけわからん事を言っているし。

「出かけるんならお土産よろしくねー。安もんはダメよ?」

「はいはい。プライスレスなお土産あげるから期待してくれっ」

「おおっ。期待するする。お金で買えない物かー……ん?」

何かにお気づきになりましたか?

「まさか…」

僕は首を傾げる。

「首を傾げたナヤヤ可愛いっ」

お、おぅ。そりゃどうも。

「じゃなーくーてー」

ジト目された。

「思い出っ」

「どゆこと?」

ワザと知らないふりをする。

「お土産は思い出話ってオチでしょ?」

「正解!! よくわかったねー! えらいぞっ」

「でへへー。って撫でるなし」

「嬉しかったくせにー」

するとムッとして僕の頬をつねる。

痛い…

「んなわけあるかー。とりあえず物を買ってこーい。あたし二度寝するからおやすみ」

そう言って戻りは家の玄関経由で帰っていった。

よくわからないけど戻る時は玄関経由って決まってるらしい。

嵐が過ぎ去ったので再び準備を始めると嵐がUターンしてきた。

「家の鍵空いてなかったわ。あははー」

そう言って僕の前をスルーして窓へ向かった。


準備を整えたので自転車で駅へ向かう。

今日は普通列車を乗り継いで半島の先の方へ向かう。

3回乗り換えてから目的地へ向かう電車のボックス席に座った。

眠気には勝てずうたた寝すると目的の駅から2駅過ぎたところで目を覚ました。

……。

やっちまった…

とりあえず清算して降りると駅前には何もなかった。

折り返しの電車まで2時間近く空いていたのでとりあえず散策することに。

とりあえず歩いていると木が生い茂った歴史のありそうな神社にたどり着いた。

不思議なことにここへ辿たどり着くまでのルートが思い出せない。

何があったか、どんな道であったか? それが思い出せないけど不思議と駅に戻ることは出来る気がした。

とりあえず階段を上がって本殿に辿り着くと、どこか懐かしいような感覚になった。

「ここ知ってる気がする…」

そんな感覚に浸りながらとりあえずお参りをすることにした。

二礼二拍一礼をするとどこからか声がした。

『そこの君…私の声が聞こえますか?』

上品で透き通るような大人の女性のような声だ。

しかし、周りを見渡すも誰もいない。

気のせいかと思い帰ろうとすると足元に木箱に入った赤い糸があったので拾った。

『それを拾って、わたしも拾ってほしいな…なーんて』

はいっ?

後ろから叩かれた気がしたのでそっちを見るも誰もいない。

改めて赤い糸の方を見ると隣に見た目女子中学生の女の子?がニコニコして座っていた。

髪はピンク色で髪型はサイドテール。

身体は150㎝程で白いワンピースをまとっている。

いきなり現れるなし、ビビった…

「やっと見つけました。わたしの御主人様」

…どうしよう。

「君はこの辺に住んでるの?」

髪色がおかしいけど明らかに幼女だし、何かアニメの影響でこんな事をやっているのかな?

コスプレというやつだな。

「わたしはここの神社に住んでいます。名前はまだ無いので御主人様につけていただきたいのです」

「いやいや。お父さんやお母さんに付けてもらった名前があるでしょ?」

すると首を傾げてキョトンとしている。

「それは何ですか? お願い事ですか?」

……。

どうしよう。ここに放置出来ない。かといって家に連れ帰ったら両親に説明の仕様がない。もしかしたら、誘拐犯として検挙されるかもだし…

そんなの絶対嫌だ!

「僕はこの後の予定もあるし行くとするよ。ここがお家なら部屋に戻りな…ね?」

「嫌です。わたしは願いが叶うまでは御主人様から離れません」

……どうしよ。逃げようかな?

「仕方ありません…わたしが神様だって事を証明すれば良いんですよね?」

まぁ。それが出来れば考えても良いかも。

「そうだね。証明と僕の両親を説得してくれれば君の御主人様になろうじゃないか」

ま、無理だろうからね。

「わかりました。あまりお見せする事はよろしくないのですが…仕方ありません。本堂の屋根の下に来てください」

僕が移動すると幼女神様は空に手を掲げた。

「……雨の神よ。ここに大雨を降らせたまえ…」

すると、ついさっきまで晴れていたのに一気に曇り始めた。

そして、大粒の雨が降り出してきた。

お、おい、嘘だろっ…。

「雨の神よ。感謝します……止めっ」

そう言って空に掲げた手のひらを握ると一気に晴れた。

「……すごい。すごいよ!!」

僕は気づくと幼女神様の手を握っていた。

「これで本物だってわかってくれましたね? わたしをお持ち帰りしたください」

お持ち帰りという言葉に引っかかりはあるけど本物なので希望通り我が家に招き入れよう。

「よろしくね! その…名前なんだけど」


『フィル』


という単語が不意に思いついた。

「ねねっ、フィルって名前どうかな?」

「はい。これからわたしはフィルですね! よろしくお願いします御主人様!」

無邪気な笑顔が眩しい…

守りたいこの笑顔。

「いや、御主人様じゃなくて、名前……那弥と呼んでほしいかな」

「承知しました。那弥君?」

ちょこっと首を傾げたその仕草…100点満点です!

その後フィルは本殿の奥からキャリーバッグを引いてきた。

神様もキャリーバッグ使うのね。

その後寄り道しないで帰宅した。

とりあえず両親を説得しないと気が休まらないし、フィルを連れまわすわけにいかない。

緊張しながら両親がいるリビングに入ると手招きして呼ばれた。

まさかもうバレたのか?

「トモくん。お話があります」

母さんが席に座るように促してきた。

うわー。ここまで緊張したの久しぶりだわ…

意を決して言い出そうとした時に父さんがくちを開いた。

「今日から神様のフィルちゃんを我が家で養うことになったけど問題ないね?」

……は?

しばらく固まっていると母さんが心配そうに俺の顔を見た。

「ごめんね。トモくんとフィルちゃんが相部屋になったことそんなに嫌なのかな? 妹だと思って…」

「母さん…その事は…」

「そ、そうね…ごめんなさい…」

なんか深刻な感じになってるけど、妹普通に生きてるからね?

今海外留学してるだけだからね。

しかも今年中に帰ってくるらしい。

「悪い…話が逸れたね…で、どうだい? 」

「いや。問題ないんだけど、なんで知ってるん?」

すると両親は顔を見合わせて首を傾げた。

え?俺何か変なこと言った。

「だって。前から決まってたじゃない? だから今日早く帰ってきたんでしょう」

ごめん。色々理解できないわ。

部屋に戻ると俺のベットの横に少し小さい布団が敷かれていた。

そこにフィルはちょこんと座っている。

「那弥君遅いですよー。1人は寂しいです」

「なぁ、フィルよ。何か両親に魔法的なやつかけた?」

するとフィルは首を傾げた。

だから、それ可愛いから!

惚れてしまうわ!

「わたしは魔法をかけてませんよ?」

「じゃあ…なんで?」

するとフィルは真剣な眼差しでこっちを見た。

「わたし…いや、神が家に居候いそうろうすることによって人々の記憶が書き換えられているんです。なので、わたしが伊勢原家にいても違和感はありません」

な、なんだそれ?

すると1つの疑問が。

「じ、じゃあ俺が当たり前に話している奴の中にも神様がいるかもしれないってことか」

すると、フィルは静かにうなづいた。

「そういうものなのです。なので今日から伊勢原フィルとして伊勢原家の一員です。よろしくです。那弥君!」


こうして伊勢原家に神様が加わりました。













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

運命のアカイイト〜ロリ神様拾いました〜 ましろゆーき @ryo236

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ